星つむぎの村通信 -No81- 2022.7.14発行

星つむぎの村通信 -No81- 2022.7.14発行

先日の七夕の夜、福岡久留米の県立科学館で観望会のお手伝いをした時のことです。
月、はくちょう座二重星のアルビレオと(七夕なので)こと座のベガを観ていただきました。
いつも人気の月や二重星に比べて、望遠鏡を覗いても ただポイントとして光ってるだけのベガ人気はいまひとつです。
ところが、ある小学生(高学年?)の子が、ベガを入れてる望遠鏡を食い入るように覗き込みながら、
「わー、とってもきれいに輝いてる!。眼で見るよりずっときれい!」
と興奮気味に叫んだのでした。
「だろー(^^♪」と思いつつ、自然に笑みがこぼれたのでした。ベガの輝き、きれいですよね~。
蛇足ですが、次に覗いたお子さん(幼稚園?)、望遠鏡を覗いて、
「星はあるけど、おりひめさまは居ないよ! おでかけ?」
と残念そうでした。
別の意味で ニンマリ♪
さて、星つむぎの村通信 81号をお届けいたします。どうぞ、お楽しみください。

(仲道正恭)

<星空俳句>

暑き夜や 土星の昇る 八ヶ岳麓(やつふもと)

今年は、異例の早さで梅雨が明けました。それからは猛烈な暑さが続き、日中は晴れるのですが なぜか夜は雨が降る、というこの頃です。
昨夜、ひさびさに晴れ、野辺山、清里で星空を堪能しました。
夜の9時半くらいになると東の空から もう土星が昇ってくるのですね。
時の移ろいを感じる一夜でした。

2022.7.11 (青りんご こと 齋藤泰文)

 

===========目次===========
1. 今月の星空紹介
2. 宇宙小話
3.  村人だより -村人登場!ー
4. 村人投稿
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1.今月の星空紹介

私の住む山梨県北杜市はここ数日、昼間はお天気よいのですが、夜になると雨降りでなかなか星空を観ることができず残念です(T-T)
でもでも晴れてさえくれれば…
夏の星空パーティーは賑やかで楽しいこと間違いなし!
てるてる坊主いっぱい作って「晴れますように」ってお願いしようっと(^^)

☆星空も夏本番
夏の夜空と言えば…1等星3つで輝く夏の大三角(^∇^)
こと座のベガ(織姫星)と、わし座のアルタイル(彦星)の間を流れるキラキラの天の川を観ることができるのも夏ならでは。
天の川の真ん中を泳ぐように翼を広げるはくちょう座は、宮沢賢治の“銀河鉄道の夜”の出発ステーションとして知られています。
そして大三角から天の川を南へたどると、ティーポット型が目印のいて座。まるでティーポットの注ぎ口から湯気が出ているかのように天の川が濃く流れています。
いて座のお隣には真っ赤に輝くアンタレスと大きなS字カーブを形づくるさそり座が横たわっています。
北へたどればWの形でお馴染みのカシオペアへと繋がって天の川の中だけでもたくさんの星座を見て楽しめますね♪

☆7月の満月
2022年で地球に最も近い満月(スーパームーン)です!
またバックムーン(男鹿月)と呼ばれ、7月は雄ジカのツノが生え変わる時期であることからこの名前がつけられたと言われています。
余談ですが…我が家の裏にも鹿さんが出没しますし、愛犬の散歩中に突然目の前を横断していくこともしばしば(笑)落ちた角を見つけられたらラッキーなのです!

☆流れ星見えるかな
7/30.21時頃、みずがめ座δ(デルタ)南流星群、やぎ座α流星群の活動が極大を迎えます。
空の条件が良いところで1時間あたり15個程度の流星を見られるチャンスがあるとのこと。
極大日の30日は、ほぼ新月で月明かりの影響がない好条件で観測ができそうですよ(^^)b
8月のペルセウス座流星群の前イベントとして注目度も高く楽しみです☆彡

どんな時も同じ空の下“みんな繋がってる”ことに喜びを感じながら、暑~い夏を元気に過ごしましょう(ノ^∇^)ノ

(立岩優子)

 

2.宇宙小話

暑がりな私は1年の大半を折りたたみ日傘をさして早歩きで過ごしています。
人よりも日傘の活躍度が高いからか、消耗も早いです。
先週は強烈な日差しが降り注ぐ暑さの中、愛用の日傘をさして早歩きしていたのですが、
なんだか暑いし、少し眩しい。
ふと見上げると、内側の黒い遮光部分が折り目に沿って剥がれて光が漏れていたのです。
あ~もう寿命か~ と思って見てると、だんだん星に見えてきました。
黒い遮光生地に小さな点が散りばめられていて、そこから太陽の光が射す。まさにプラネタリウム!!
日中に輝く「ひがさ座」に感動しつつ、そろそろセールで新しいものを買わないと と思う6月末でした☆

(岸本由希)

まるで、傘のプラネタリウム!!

 

3.村人だより -村人登場!ー

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名前:藤田家 母(藤田優子)
住んでるところ 東京都練馬区
好きなこと 国語 音楽 家庭科
苦手なこと 体育 算数 図工
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私たち家族は、2019年のGWに星つむぎの村と出会い、2020年の元旦に家族みんなで村人になりました。
村人3年目。
5人それぞれがめいっぱい村人ライフをエンジョイさせていただいています。

☆☆☆
そんな私たち家族が初めて村人としてイベントに参加したのは、2020年の2月、大月で行われた「星夜見会」でした。
昼間の大盛況のワークショップを終え、スクリーンプラネを見てから外に出たら、息をのむような星空。

「冬の夜空には大きなダイヤモンドがあるんだよ」
「オリオン座の中に一角獣を見つけることができたら幸せになれるんだよ」

初めて聞くお話はどれも素敵で胸に沁み、こんなにたくさんの星を見ながらこんなに素敵なお話が聞けて、この村はなんて幸せな居場所なんだろうと感動しっぱなしの初参加イベントでした。

☆☆☆
ところが。

そんな忘れられない時間のなかで、あれ?と思ったことがありました。
それは、小さい頃の父の記憶のことでした。

私が子供時代を過ごした神戸の街は100万ドルの夜景といわれるくらい街の明かりが明るくて、あまり星を見た記憶がありません。
唯一覚えているのは、父が教えてくれたオリオン座。

塾の帰り道だったか、あるとき夜道を歩いていたら父が突然空を指さして、
「オリオン座や!」と言いました。

3つ並んだ星が目印や!
めったに見られへん珍しいやつや!
これを見られたら幸せになれるんやで!!

と、それはそれは嬉しそうに教えてくれました。

何も知らなかった私はこの時の父の話をすっかり信じて疑わず、それ以来、空を見上げてオリオン座の三つ星を見つけるたびに幸せな気持ちになっていたのでした。
村人になるまでは。

でも大月の帰り道、車の中で星空と真理子さんのお話を反芻していたら、
はたと父のはったりに気が付いてしまったのです。

うそばっかり。

幸せになれるのはオリオン座じゃなくて一角獣じゃないか。
よく考えたらオリオン座なんてしょっちゅう見えていて、珍しくもなんともない。
なんで今まで気が付かなかったんだろう。
すっかりだまされた。。。

☆☆☆
思い返せばいいかげんな父でした。

小児科は「こじか」で眼科は「めか」
きゅうりはナス科、徳川家康はアメリカ人
昔、足の小指だけトラックに轢かれたことがあるとか、
蜘蛛の出産を見たことがあるとか。

大人になってから考えると父の話はおかしなことばかりで、
小さいころに聞いた話はほとんど嘘かデタラメだったんじゃないかと思うくらいです。

大月からの帰り道、そんな父の嘘にまた気づいてしまって、
呆れるやら腹が立つやら、あーあとため息が出たのでした。

☆☆☆
でもそれから2年。
何度となく真理子さんのプラネタリウムを見て、
何度となく心が震えるような星空を見上げて、
「星を見る」ということがどれだけ根源的に幸せなことなのかをおのずと実感できるようになった今、

もしかしたら父は、オリオン座が冬の間中いつでも見られることを知っていたのかもしれないなと思うようになりました。
知っていて、わざと私に嘘をついたのではないかと思うようになったのです。

だって父の話を信じた私は、夜空にオリオン座を見つけるたびにいつも幸せな気持ちになっていたのですから。

☆☆☆
サラリーマンだった父が40年勤めた会社を退職した日。
母は新しいネクタイを用意して、「ご苦労様」と父を送りだすつもりだったそうです。
でもその朝、長らく家庭内別居をしていた父と母に会話はなく、
用意したネクタイも「ご苦労様」も父には渡せなかった。

それからほどなくして、父と母は離婚しました。

「この地上ではいろんなことがあるけれど
頭の上にはどんな時でもたくさんの星たちが輝いているってこと、
その向こうには広い広い宇宙があるってこと
忘れないでいてくださいね。」

プラネタリウムで真理子さんのことばを聴くたびに、
私は今の自分を、夫や子どもたちを、そして父と母のことを想います。

もしもあの朝、母がネクタイを渡せていたら
もしもその夜、父が見上げた空にオリオン座が輝いていたら

父と母は今も一緒に暮らしていたのでしょうか。
やっぱり別々の道を歩んでいたのでしょうか。

☆☆☆
母は今、東京でゆっくりと人生の終わりを迎えようとしています。
年老いた父が今どこで誰とどんな風に暮らしているのか、私には分かりません。

分からないけど、
分からないからこそ、

どこかの街で、誰かと一緒に星を見ていてくれたらいいなと思います。
たとえ嘘でもデタラメでも構わないから、オリオン座を見つけるたびに幸せな気持ちになっていたらいいなと思います。

☆☆☆
すべての人に星空を。

こんなすてきな言葉とともに、皆さんと一緒に星を見ながら今を重ねていけること、
とても嬉しく思っています。
今後とも、私たち家族をどうぞよろしくお願いいたします。

いっかくじゅう座とオリオン座 北杜市アルリ舎にて
撮影:跡部浩一

4.村人投稿

毎日暑い日が続きます。というか、燃えるような熱い日 といってもいいような日々ですね。
こんな日々は、熱中症予防でエアコン活用が欠かせませんが、やっぱり 気持ちの上でも涼しくなることも必要では。
そこで!
今回は、久しぶりに写真特集を企画しました。
この季節ならでは、のさわやかな一枚です。ゆっくりと涼んでくださいね。

<ほ・た・る>

2022年6月25日  ほたるの里
撮影場所:栃木県那須地域 撮影:石川貴之

 

<惑星大集合>

2022年6月28日 明け方の惑星大集
撮影場所:山梨県アルリ舎 撮影:跡部浩一
上:左から 金星、火星、木星、土星
下:左から 金星、火星、木星

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