星つむぎの村通信 -No78- 2022.4.17発行

星つむぎの村通信 -No78- 2022.4.17発行

コロナの状況はまだまだ安心できるレベルではありませんが、一年前は中止が相次いでいた美術館や博物館などの展示公開などもぼちぼち始まってきています。
今年のはじめには、東京都美術館でフェルメール展がありましたが、福岡から観に行く勇気が無くて とても残念でした。
実は、浮世絵やゴッホから現代絵画まで星空をテーマに描いた作品はけっこう多いと思うのです。
あのフェルメールにも「天文学者」という作品があります。
私達 人類は 誕生してからずっと夜空を見上げながら暮らしてきたのでしょう。
そして、大昔の最大の芸術作品が「星座」なのかもしれません。
さて、星つむぎの村通信 78号をお届けいたします。
どうぞ、お楽しみください。

(仲道正恭)

<星空俳句>

 春眠(はるねむ)し 惑星集う 朝ぼらけ

4月当初は寒く、霙(みぞれ)まで降る冷たい花冷えの日々でしたが、その後急に暖かくなり、今は『春眠暁を覚えず』を地で行くような暖かい春らしい気候になりました。
桜の花も我々の住む町のあたりは満開です。まさに春爛漫ですね。
ただ、まだまだコロナウィルスは衰えを知らず、変異を繰り返し猛威を奮っています。
こちらにも注意しながら春を楽しみましょう。
ところで、みなさん今、惑星が朝方に集合しているさまをご覧になったでしょうか?
珍しい星景です。
ぜひ早朝の東の空を見てください。

2022.4.9 (青りんご こと 齋藤泰文)

2022.4.9 早朝  撮影場所:山梨県北杜市にて  撮影者:青りんご こと 齋藤泰文

東の空の惑星集合写真を撮ったら、その上方の天の川の中を過る(よぎる)流れ星が2本入りました。
山(茅が岳)の上 ひときわ明るいのが金星、ひし形の星並びの上左が火星、上右が土星です。 (撮影者談)

※2本目の流れ星は1本目の下あたり。判別するのは難しいかもしれません(編集担当)

2022.4.9   サクラと天の川    撮影場所:栃木県那須地域  撮影者:石川貴之

 

===========目次===========
1. 今月の星空紹介
2. 宇宙小話
3. 村人登場!
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1 今月の星空紹介

皆さん、こんばんわ。
各地で桜情報が伝わっておりますが、星空も春の星座が見やすくなっています。今回は、春の大曲線、春の大三角からたどれる星座をご紹介しましょう。星座早見盤をお持ちの方は4月24日21時、
あるいは国立天文台サイトの「ほしぞら情報5月」の図をご準備ください。

1.おおぐま座

おおぐま座は、天頂付近に光っています。
北斗七星を見つけたら、鼻先、前足、後足の星たちを探します。
足のところは、それぞれ並んで光る2つの星を見つけるのがコツです。
結び終わるとかなり大きい星座であることが分かります。
実は、星座の大きさランキング第3位の星座です。

2.うしかい座

北斗七星の「ひしゃくの柄」を兼ねている、尻尾のカーブを延ばすと、春の大曲線は「うしかい座」のアークトゥールスにつながります。
「うしかい座」はちょっと前まではネクタイの形をした・・・と説明してましたが、最近はノーネクタイのスタイルも増えましたので、なんと表現すればよいか考え中です。
アジのひらきのような、寿司ネタの蒸しエビのような・・・。
大きさランキング第13位の星座です。

3.おとめ座

さらに曲線を延ばすと「おとめ座」のスピカにつながります。
「おとめ座」はうしかい座に比べて暗い星が多いのですが、なんと、大きさランキング第 2位です。
「春の大三角」の下側(スピカのあたり)を中心に、横長に光っているところをたどってくださいね。

で、ランキング第1位は・・・
他にも、しし座(第12位)、りゅう座(第8位)がありますが、第1位の星座をご紹介しましょう。
その名は「うみへび座」大きいというより長いと言ったほうが似合うかもしれません。
地平線に蛇の頭が見えてから、尻尾の先が見えるまで、なんと8時間くらいかかる大物です。 低い位置にあるので早見盤では曲がってますが、直線的に探すと結びやすいです。
南の空が広く見える場所で是非チャレンジしてみましょう。

ではまた次回。

(和田直彦)

春の星座 北杜市アルリ舎にて

2022.4.16   主役交代
撮影場所:山梨県河口湖    撮影者:跡部浩一

 

2 宇宙小話

和尚さんと八っつぁんの星空道中
和:和尚さん、 八:八っつぁん

(今晩も、ドタバタとやって来た八っつぁん、何があったんでしょうか?)
八:和尚さん、こんばんは。今日も、星がきれいですね。
和:八っつぁんも、そう思うかい?
世の中、いま正に桜の季節じゃが、ライトアップしたさくらの上に輝く春の星たち、何とも言えずきれいじゃのう。
八:へー、和尚さん!こんな星空、みーんなに見てほしいですね。
和:ははっ、そうじゃな。ところで、何だかドタバタとやって来たようじゃが、何かあったかのう?
八:そうなんです、和尚さん。聞いてくださいよ。
昨日の晩なんですが、かみさんが近所の茶飲み仲間を連れてきて、「星空を案内してあげてちょうだい。」って言うんでさ。
そこで、つい調子に乗って和尚さんから教えてもらったマメ知識をフル動員して、知ったかぶりに星の話をしたんです。
和:うむ、八っつぁん、良いことをしたじゃないか。皆さん喜んだじゃろう。それで何かあったかのう?
八:へえ、「星座はいつ頃できたの」って話になったんです。そこであっしは、「5000年ほど前、今のイラク付近にあたるメソポタミア地方の羊飼いたちが、夜、羊の番をしながら、明るい星と星をむすんで動物や人間などの絵を描いたのが始まりと言われているようだ。」と説明したんでさ。
和:うむ、定番の説明だのう。それで、良いんじゃないかな?
八:へえ、ところが、その次があるんでさ。
星を見あげながら、「さっき暗い星ばかりの星座は見つけにくいって話があったけど、明るい星が無くて暗い星ばかりでも絵を描くことができたの?」って言うんです。
これまでそんなこと気にしてなんかいなかったので、ハタと困ってしまいやした。
そして苦し紛れに、つい
「今は暗いけど、星座が作られた頃そこには明るい星があったんじゃないですか?」
なんて言ってしまったんです。
和:八っつぁん、そんなウソを言っちゃいけないよ。
分からなかったら、分からないって言わなきゃ・・・な。
わしも、八っつぁんと同じように星座の始まりを説明しておるが、たしかにそんな質問があってもおかしくないのう。
八:和尚さん、どうして暗い星ばかりでできた星座があるんですかい?
和:まあ、詳しいことは分からんが、モノの本によれば、星座の始まりは、星の動きをよく見ていた人たちが、規則正しく動く星を見て、農作物の種をまいたり、収穫をしたりする時期の目印にしたと考えられておる、とのことじゃ。
そして、その後、星座はギリシア神話とむすびついて、今に伝わる星座と神話の物語が作られたということなんじゃが・・・。
八:はい、そんな話、和尚さんからよく聞いてました。
でも、それでは、どうして暗い星ばかりの星座があるのかの説明にはなりませんよ。
和:そうじゃのう?細かい話はよう分からん。
星座が時刻や季節の移り変わりを知る大事なシンボルだったことは確かだし、明るい星や目立つ星の並びがいろんな姿の星座を想像した・・・、暗い星ばかりでも星座が作られた・・・?
八:和尚さん、何をブツブツ言ってるんですか?自信無さそうですね。
(和尚さん、腕を組んでじっと頭を巡らしている様子・・・。しばらくして、何かひらめいたようです。)
和:うむうむ。そうじゃ、こんなこと考えられるんじゃないかな!?
目で見える星は、明るさにより、1等星から6等星に区分されておる。
特に明るい星が1等星、肉眼で見える最も暗い星は6等星、八っつぁんも知ってのとおりじゃ。
八:へー、もちろん知ってますよ。
和:星座がギリシア神話と結びついて夜空に神話の世界が作り出された頃、明るい星のあるところだけでその神話の世界を描くことが難しくなった。
そこで、すでにできていた星座の合間の暗い星たちの辺りに星座を描いたのではないかのう。
街の明かりがほとんどなかった当時は、暗い星でも今よりずっときれいに輝いて見えていたはずじゃから、そこに絵を描けたのではないか。今、そんなことがひらめいた。
八:ふーん、さすが和尚さん、何となくイメージ湧きますぜ。
和:うむ、何の根拠も無いが、まあロマンの世界じゃ。思いを寄せても良かろう。
八:まあ和尚さんカッコつけてますね。
つまり、夜空のロマンをより楽しむために、暗い星たちも星座の仲間に加えられた、って言うことですね。
和:まあ、そんな風に想像しておくのも一興じゃろ。あくまでもわしの楽しみ方じゃがのぉ。
八:へー、星座の世界は、やっぱりロマンの世界だと思って見上げましょう。

和尚さんのひらめき、いかがでしょうか?
こんな風に、二人の星空談義は進んだようです。
これは、あくまでも和尚さんのひらめきから出たお話。
これが、「何故暗い星ばかりの星座があるのか」の なーるほどと分かる説明でもなんでもありませんので念のため。
ただ、この話題は星空観察会で実際にあったものです。
もしかしたら、皆さんもこんな質問に遭遇する(もしかしたら、してる)かもしれません。
そんな時、「暗い星ばかりでできている星座がなぜあるのか」を みんなでいろいろと想像できたら、星空や星座への関心をドンドン持ってもらえるのではないかと思います。
そこでお願いです。「何故暗い星ばかりの星座があるのか」という疑問に対する想像豊かな回答や話術などのアイデアはありませんか。
皆さんからの楽しい提案をお待ちしています。

(星じい こと 宮下功)

3 村人登場!

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〇投稿者プロフィール
勅使川原 千春(ニックネーム:てし)
神奈川県在住
好きなこと 旅行・読書・アート鑑賞
苦手なこと 大根おろし(いつも怪我)、アイロンかけ(いつも火傷)
☆「本の森だより」や「星空へのリクエスト」、を主に担当しています。
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緊急事態宣言が発出された二年前、星つむぎの村人となりました。

村人は、いつもPCモニターの中に居ました。しかもトリミングされた姿です。
みな面識のない方ばかりだし、これは想像力の出番だと構えましたが、、、
いやいや、モニターに映る村人たちは、半分も見えていないのに みなさん個性豊かでした。

星空から降ってくるような声の真理子さんは、ヒョーと宇宙旅行に連れ出してくれるし、正体は「鉄腕アトベ」だった跡部さん、飛びついたら ぎゅっと抱っこしてくれそうなペコちゃん、いつも手元では工作している りゅうさん、着物姿で迫力満点の 語り部やんばあ、画面は常時混雑してる五人の笑顔が嬉しい藤田家、泣き虫さんも多いです。
みなさん感情も豊かなのです。
とても書き切れないけれど、お空を見上げれば、子どもたちが応援してくれています。

この二年間は、「死者の命」みたいなことを考えるようになりました。
きっかけをくれたのは、星つむぎの村です。
いつも時間は途切れることなく流れ、「生きる」の先に「死」があり、「今」は、ひとつづきの過去と未来の途中の一瞬。星を見上げれば、「生」と「死」の境界は溶け、すべての命が生き続け、互いにかけがえのない存在として いつまでも繋がって、そこにいることを教えてくれます。
だから、「今」を大切に過ごしたいと心から思っています。

(てし こと 勅使川原千春)

 

 

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