星つむぎの村通信 -No77- 2022.3.18 発行

星つむぎの村通信 -No77- 2022.3.18 発行

すっかり春ですね、少なくとも九州では。。。
梅、桜、パンジーなどが鮮やかに開花して来るので 気持ちもワクワクしてくるようです、多くの方が。。。
私はというと、かれこれ40年ほど花粉症(特にスギ花粉)に悩まされているので、春は ちょっぴりゆううつな季節でもあります。
特効薬は無いようなので、今年も対症療法で乗り切るしかないかな、と諦めながら 星空を見上げて癒されているのでした。
さて、星つむぎの村通信 77号をお届けいたします。どうぞ、お楽しみください。

(仲道正恭)

 

<星空俳句>

  春の夜や 威風堂々 おおぐま座

あれだけ寒い日が続いた今年の冬も、このところ急に暖かくなり、確実に春の到来を感じています。
昨夜の野辺山の気温は+7℃もありました。
田んぼの畔には、蕗の薹が顔を出しはじめております。
星空は着実に冬から春へ進んでいます。コロナ禍も戦火も収まり、はやく平和な日常に戻ってほしいと思います。

2022.3.14 (青りんご こと 齋藤泰文)

タイトル:アルリ舎北天
撮影場所:山梨県北杜市大泉町 撮影日時:2021年2月2日21時30分
写真提供:跡部浩一

 

===========目次===========
1. 今月の星空紹介
2. 宇宙小話
3.  村人だより -活動紹介(病院がプラネタリウム)-
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1.今月の星空紹介

今年の春分の日は3月21日です。なので、今日は春真っ盛りと言っても良いですね。
春と言えば「春眠暁を覚えず」というわけで、朝寝坊が気持ちよい季節です。
それも十分わかりますが、この3月は是非とも早起きして空を眺めて見てください。
実は、日の出前に、金星、火星、土星が同じ西の低い空で見ることができます。
そして、この3つの星の位置関係も日々少しずつ変わっていくので、その変化も楽しむことができます。
そこで、それぞれの星の特徴です。
金星:-4.6等星と ひときわ明るく輝いている
火星:赤っぽく輝いている
土星:金星でも火星でもない それなりに明るい星
いかがですか?
3つの星は ほぼ一等星以上ということもあり、わりと簡単に区別できそうですね!
どの星が良く移動しているのかを観察してみるのも楽しいと思いますよ。

とはいうものの、やっぱり早朝は苦手、という方のために。
今は、星座も季節の変わり目です。
夜8時ごろの空には、南西の空には オリオン座、おおいぬ座、ふたご座などの冬の星座を見ることができ、東の空には しし座などの春の星座が見え始めています。
ただ、春の空は白っぽく霞がかかったように見えるため、クリアーに星座を確認するのは難しいかもしれません。
そういう夜は、「朧月」でも楽しみながら 春の訪れを感じるのも一興です。

(仲道正恭)

2.宇宙小話

数年前、大好きな台湾を旅行しました。
台北市にある天文科学館でプラネタリウムを体験。
今夜の星空解説は、もちろん私にはチンプンカンプンな中国語です。
それでもドームを見上げながら聞いていると、話している内容が分かるところがあるではないですか!
それは双子座の解説の一部でした。双子座を形づくる線を何度かポインターでたどりながら
「‥ペイ、‥‥ペイ‥、‥ペイ。」
と話しています。
何をそんなにペイペイと?と思いながら、ふと気がついたのです。
あ、これは漢字の「北」、台北(タイペイ)のペイにも見えるということね!いわれてみると(いわれてるのか?)確かに。
一人密かに興奮しつつ、同じ漢字を使う台湾にさらに親しみが湧いたひとこまでした。

(河村和栄)

3.村人だより -活動紹介(病院がプラネタリウム)ー

病院がプラネタリウムに関わるようになったのは6年前。
それから何度となく活動に参加しているが、このコロナ禍で ほとんどの「出張プラネタリウム」が「フライングプラネタリウム」となったため、直接参加することも難しい。
「フライングプラネタリウム」は、非接触で行うことのできるプラネタリウム。
そんな「フライングプラネタリウム」にオンラインで参加する機会があった。
そこで、一番びっくりしたことは、ICUのベットで過ごすお嬢さんと7mドームの中がつながったことだった。
その時のレポートを書いた。興奮気味に。

涙が溢れてしかたなかった。
今日は世界一特別なプラネタリウム配信となった。
なんとICUのベッドの上から
支援学校で行われたきょうだい児支援のイベントに来てくれたみんなと同じプラネタリウムを観ることができたから!!
とんでもない瞬間に立ち会えてしまった。

私の勤めていたこども病院のICU(集中治療室)という場所の情景が、ヒリヒリするくらい蘇る。
命の現場には、「遊ぶ」という こどもに不可欠なものすらゆとりがなく、ひたすら無機質だ。
アラームに耳をすませ安静を保ち、スタッフも小さな声で話す。
急変の準備を整えナースもドクターも控えている。
プレイルームは当然ない。
大切なぬいぐるみやおもちゃも一般病棟よりさらに限られたものしか置けない…
そんな場所とプラネタリウムのドーム内が、つながることができたのだった。

プラネタリウムが開催されたのは神戸。
プラネタリウムドームの脇におかれたパソコンではzoomを通じて、私達村人が、都内、横浜、山梨などから集まっている。
一方、プラネタリウム会場にはお母様の井関さんがいて、携帯でICUにいるお嬢さんのゆうなさんとオンライン面会。
横浜にいる私は、その画面をzoomに参加することで、神戸の会場を経由してICUにいるゆうなさんの様子を見る。
ICUの携帯はどなたのものなのだろう…有り難い…

ドームの中では、プラネタリウム上映中。
井関さんが、携帯とパソコン両方携えドームの中に入っていく。
ゆうなさんは、ICUから携帯を通じて、ドームに映し出された星を見て、私は、zoomに映されたゆうなさんの表情を見る。
私はほとんど音だけなのに、研ぎ澄まされた時間と時折映し出されるゆうなさんの表情を見る。

ゆうなさんが笑った!みるみる喜びにあふれる。
井関さんの声掛けがどこまでも優しくて、今思い出すだけで泣けてしまう。
「嬉しいねぇ」
「みんなと一緒の星を見てるよ」
「あゝ…笑ってる…」
「ゆうな、いい表情するねぇ…」
「お母さん涙で見えないよ…」
zoomで集まった村人たちがしゃべれないからチャットを返す。
「つながってます!」
「一緒に見てます!」
「世界一最高のプラネタリウムだ!」
「命の輝きが愛おしくてたまりません…」

あの無機質なICUのベッドの上で、貴重な面会時間の10分を使ってプラネタリウムを見てくれた事。
中継のそのまた中継で星空がつながっていた!
10分の約束が過ぎているのに大目に見てくれている。
ドームの中だって途中から光が入って見にくいところがあったはずなのに、みんなそれについて何も言わない…
なんてこったなんてこった…
きっとこれから誰かの生きる勇気につながるに違いない。

こんな可能性がある事を示してくれたゆうなさん、井関さん!!
そして見守ってくれた皆さん
病院スタッフの皆様
同じ時を生きて下さってありがとうございました。
また一緒に星を見上げましょうね。

「星でつながる、星がつなぐ」 写真提供:井関ひろみ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その後…ゆうなさんは、星の寺子屋に一般病室から参加してくれた。
そして退院して自宅からと…日に日に回復してくれて何よりだった。
今回のことは、コロナ禍の中での面会が思うようにできない心細さをつなぐことで共有できたように思う。
想像と工夫で 困難と思うことを乗り越える力を一人一人がきっと持っているんじゃないかと私は信じている。

(黒井ペコ こと 黒井良子)

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