宍道高校での学びに関わって

宍道高校での学びに関わって

去年、今年と島根県立宍道高校の夜間部に関わらせてもらいました。オンラインでの対話や学校における「フライングプラネタリウム」の実施、学校での発表会。 最後は、高校生企画として、地域の人たちにプラネタリウムを見てもらう(それ以外にもいろいろと)会が計画されていましたが、それは残念ながら、感染症の影響で地域の人たちに見せるのは難しくなりましたが、彼ら自身の中で芽生えたもの、発表会までの軌跡を、伴走してくださっていた高橋先生からレポートいただきました。
紹介されている動画は、学校のウェブサイトからもリンクされています。

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はじめに
ご縁あっての昨年度、「夜の学校 PJ」で、星つむぎの村の高橋真理子さんに全面的に協力
を仰ぎ夜間部の美術の授業プログラムとして、フライイングプラネタリュウムが実現でき
ました。コロナ禍での開催で様々な制限があった中、経験した生徒たちの中から今年度もぜ
ひ、という声が上がり、夜間部の生徒の PJ としてエアードームでプラネタリュームを実践
することになりました。そして 2 月 1 日から 1 週間、「美術室がプラネタリュウム」授業の
プログラムとして体験することができました。感謝の気持ちを込めて活動報告をレポート
します。

■活動報告 動画について
宍道高校は定時制通信制の高校で、学びに困難を抱えた多様な生徒が通っています。夜間
部の生徒は現在 6 名、その中の 4 名の美術受講生が 3 か月この PJ を全校生徒に発信するこ
とをゴールに活動してきました。
2 月 25 日(金)今年度最後の生徒の学校行事「まなびのキセキ☆発表会」、生徒と先生
が 1 年間のまなびを共有し合うという大切な時間です。リアルタイムで真理子さんと彼ら
をつなぎ、遠隔双方向対話、、のはずでしたが、私の操作ミスでうまくいかない中、真理子
さんは彼らのことをずっと見守り、励ましてくださいました。同じ時間を共にすることで、
私たちがどれだけ助けられたかわかりません。その時の発表の中で流したのが彼らと作っ
たこの動画です。
https://youtu.be/0dzC6fgr_Y8

■活動の振り返り
宍道高校の授業の一環としてプラネタリュウムを取り入れることの意味を考えてみまし
た。新学習指導要領の導入で総合的な探究の時間のプログラム構成とか教科横断のカリキ
ュラムマネージメントなどいろいろ工夫しながら、社会に開かれた学校を目指しています。
現場では学習評価について、シラバス作成について、新たに取り組まねばならぬことが多く
あり教員の仕事は ICT 化にあわせて多様化、多忙化を極めています。この状況下だからこ
そ忘れてはいけないことを今回の実践、生徒の感想も引用しながら、まとめてみました。
1 元気・勇気をもらうことができた。未知の世界、いろいろな人とつながることの大切
さを知った。
授業の導入で真理子さんが紹介してくれた動画の中での、子どもたち、(さちちゃんやい
っちゃん)ともに歩くお母さんたちの姿に感動した、という感想や、たくさんの勇気をもら
ったと、話してくれました。また星を介してつながることで活動を広げておられる真理子さ
んの偉大さも感じ「えっ?そんなすごい人と今つながってるの?」授業の中で「??」や
「!!」がいっぱいになりました。つながることが苦手な生徒が多い中、改めて、「つなが
るってどういうことだろうね」という問いを投げかけみんなで考えた結果、元気や勇気をも
らうことかなって・・・。そっか~プラネに入る前のモチベ、大切だねっ!そしてワクワク
しながらエアードームに入り、、、、さらに元気をもらい、「小さな一歩を踏み出す勇気が湧い
てきた。」そんなみんなの体験でした。

2 WellBeing「今、ここに自分がいる」ことのキセキ=大切さ を体感することができた。
私自身「宙」とか「星」は壮大すぎるモチーフで、星の名前もいまだに知らないし覚えら
れません。逆に足元の花の名前にはうるさいw。そんな風にヒトそれぞれの興味関心、想い
やその時の心情は全く違っています。それでも学校の中ではともに学び合う良い関係性を
築いていくのが理想です。無限のドーム空間でありながら、ある意味閉じていて安心な居場
所。寝っ転がり、呟きを拾い合い、共鳴しながら同じ宙を想う、生の声で自分の星座につい
て語ってもらい、真理子さんと対話しながら漂ったその時間は貴重でした。「学校の美術室
のプラネの中の友達の横の私 生徒目線で、教員目線で、を超えて、すべてのヒトが「私目
線」になれたような気がします。」ある先生の感想です。生徒のことをとてもよく見取って
くれていました。
「自分の存在意義について考えることができました」「普段の学校の中ではありえない奇
跡の時空でした。」など生徒の感想からも読み解けます。

■未来・これから
日常として続け、未来につなげることの大切さ
夜間部のスタッフとして黙々と裏方の作業をこなした N さんは「真理子さんのように人
に希望を与えられる人になりたい」と感想を残しました。彼女の心のなかに芽生えた希望を、
来年も一緒に育てないなあ、と考えています。最後までリーダーとしては少々頼りなかった
K 君は、発表後「先生!真理子さんの前で、大失敗したね~wどんまい!」と逆に慰められ
「また来年ね」と返しました。卒業延期になった彼ですが、つながってもらっていることに
感謝し、続けていく可能性を探りながら未来を見据えみんなが幸せになるためのまなびの
場づくりに心を寄せたいと改めて感じました。(文責 高橋 恭子)

「星」「宙」で人々を繋ぐ真理子さん、跡部さん、星つむぎの村のみなさんありがとうご
ざいました。この PJ を体感した宍道高校の教員生徒全員を代表して心からお礼申し上げま
す。