名古屋大病院の2日間

名古屋大病院の2日間

1月21日、22日に名古屋大病院にお邪魔しました。2018年12月の初回のときも、病院プラネ始まって以来最大規模で行わせてもらいましたが、今回も、医療スタッフみなさんが一丸となって、この日を準備してくださっていました。星つむぎの村スタッフは、高橋、野田、跡部、黒井、山本、永友、永友ご主人、川北、川北ジュニアでした。また名大病院内でボランティアされている中川さんもお手伝いにきてくださいました。

以下、実施内容です。

1日目: プレイルーム(5W)の天井投影2回(高橋)、5W個室天井2回(野田)、プレイルーム(5E)天井投影2回(高橋)1回(野田)、病室2回(高橋)

2日目: 小会議室の天井投影1回(野田)、院内学級の天井投影1回(野田)、GCU1回、NICU2回(高橋)、個室1回(野田)

すべて、天井投影だったので、すべての場所に遮光作業が必要で、スタッフは常に動きまわっておりました。

プレイルームでの投影で、10人以上が集まるときも全員のお名前と星座をきいて投影中に名前を呼びました。個室ではもちろん、その子のお誕生日の日の星空を。

CLSさんや保育士さんはじめ、院内学級の先生が最後集まって振り返りもしてくださいました。印象的だった言葉は、「ほんとうは医療者が伝えたいこと・・(おそらくそれは、生まれてきてよかった、とか、いのちの奇跡とか)だけれど、現場でなかなか言えない。それを伝えてもらっているように思います」と。

NICU/GCUの師長さんは、あのような高度医療の一分一秒緊張感が走るような現場で、プラネタリウムをやることの意味をスタッフ全員に周知し、そして何より安全確保、感染制御にご尽力くださいました。師長さんが、「去年もそう思ったけど、あんなに小さい赤ちゃんが「どや顔」になるの。見れたぞって。それをみて、親がこの子がこんなことができるんだってすごく驚くの。」「高度医療は、自然である人間という概念をベースにしないといけないと思う。だから自然を感じられることはすごく大切」。

以下、長くなりますが、参加メンバーからの感想です。

野田祥代

初めて投影中のNICUに入りました。医療施設は命の現場。そしてこの場所は生まれてきたとほぼ同時に「生き続けること」に正面から向き合わざるをえない場所です。
自身のお腹をかばいながら赤ちゃんを抱えて星空を見つめる女性。横たわる子の瞳にうつる宇宙に気づいて、ぱっと表情がかわり上を見上げたママ。天井の星空と宇宙には一瞥もくれず、ひたすらに小さな小さな命を見つめつづけた若いお母さん。
場をつくることなど私にはできず、ただその空気に溶け込むしかありませんでした。
自分が今やっていることは、いったいどういうことなのだろう。繰り返し頭をよぎるこの問いにきっと明確な答えはないのだろうと思いながら、次回の同じ場に少しでも自分が豊かになって戻ってこられるように、と思います。

山本佐知子
最近、自分の過ごしていた時間の中では、死に向かっていくお年を召した方たちがいかに自分らしく、自分の生き方を終えていけるようにしてあげられるか…ということを目にすること、耳にすることが多かった。終えることに向けていることと、対象的に
…名大プラネに参加して、NICUの小さな小さな子供たちをはじめ、病棟の子供たちがプラネタリウムを見てる様子、その表情、驚きの声…過ごしている時間の中ではできないこと、ここから出ないとできない体験をすることができて、きっと、こころの中で動いた、いつもと違う微細な気持ちを感じ、それが前を向く、生きる命へ向かうこころへれ動くことができただろうなぁと思う。
側にいるお母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんもプラネの語りや目に映る映像、看護士さんやCLSさんたちの想いをしっかりと受け止めて、涙しているのもとても印象的でした。
そんな様子を見たわたしも…もっとこころをたくさん揺り動かして、自然、動物、他の人たち、社会と共に過ごすことでわたしの時間をもっと豊かにしていきなよ!と、彼や彼女たちに大きな言葉をもらったような気がしました。
大したことができず申し訳ない気持ちを持ちつつ、感謝です。ありがとうございました。

川北祥子
名大病院1日目の午前中のみの参加でした。プレイルームに入ってきた子どもさんと保護者のみなさん。目をつぶってカウントダウンをして満天の星を見たときに「わー!」「すごい」と口々に歓声を上げてくれました。「こんなに沢山お星様があるんだから、たーくさん願い事していいんだよ」という真理子さんの語りかけに私の隣にいたお父さんが「どーする?何頼む?」と聞くと息子さんは「おうちに早く帰りたい」と、、そーだよね。おうちに帰るのが1番の願いだよね。その願いが早く叶いますように!と私も病室から見た星にお願いしました。 今回プラネタリウムをお手伝いしながら、息子が乳児の時に40日間原因不明の熱で入院した事を思い出しました。当時はとにかく先の見えない不安を抱えて、星空を眺める余裕などなく、下を向いていたなぁと。この病院がプラネタリウムの活動は患者さんはもとよりきっと多くのご家族のみなさんにとって星を眺めることですごく勇気や元気をもらえると改めて思いました。

川北一彦
「病院でプラネタリウム」の設営に,今回初めて携わらせていただきました。実際に間近で体験して思ったのは,これは日常の場所で行われるからこそ意味があるんだ,ということです。  多くのひとにとって「プラネタリウム」といえば自分から出掛けて観に行くものだと思います。私もそうで,あれは小さい頃親にしつこくせがんで名古屋市科学館へ連れて行ってもらいようやく観ることのできた,いわば「特別な景色」でした。  ホンモノの星空を見られない人たちに,星空と宇宙を届ける「病院でプラネタリウム」には,こうしたねらいが込められているといいます。しかし,見慣れた日常で「特別な景色」を体験できるという点で,このプロジェクトはどんなひとにとっても価値のあり,意味のある企画だと私は感じます。

永友真奈美
去年はまったく何もわからないまま参加した途端、いっきにめまぐるしく遮光がはじまり、ドームが膨らみ、投影がはじまり、感動の涙を流すという嵐のような2日間を過ごしました。病院に星を届ける人たちがいることも、初めて知りました。
そして1年が過ぎ、今年は「村人」として参加させていただきました。去年もお会いした看護師さんやCLSさん、保育士さんたちもかわらず小さな命に優しく寄り添っておられました。
最後の病室投影のお母さんの涙がとても印象的でした。ベッドの上で静かに目を閉じて呼吸をしているお子さんと、お母さんのお腹の中で呼吸している赤ちゃん。
そしておじいちゃんとおばあちゃんにも一緒に見てもらって星空は、きっとあたたかな気持ちを届けてくれたと思います。わたしもまた、素晴らしい方たちとあたたかい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。

 

黒井良子
総合病院だからでしょうか NICU ,GCU 小児病棟 エレベーターですれ違う大人のかた方 そこには、弱い命の美しさ尊さ、はかなさがありました。 プラネタリウムを見上げて みんなお母さんとお父さんがいる みんな胎児を体験して誕生してきたこと みんな赤ちゃんだったこと みんなこどもだったこと そして、命を全うして星になること 生きものとしての活動が、連綿と連なって今があることをまた改めて感じました。