星つむぎの村通信 –No40– 2019.3.21発行

星つむぎの村通信 –No40– 2019.3.21発行

ある新聞で、「行って見たい太陽系の天体」特集記事を見つけました。みなさん、1位から想像してみてください。・・・それでは発表です! 栄えある1位は:月(733票)、2位:火星(483票)、3位:土星(287票)、以下、金星、木星、太陽、冥王星と続いています。ということで、圧倒的に「月」が人気でした。6分の1の重力を感じてみたい、月から青い地球を眺めたい、などが人気の主な理由です。そして、特筆すべきは7位に入った冥王星。日本人特有の同情票を集めたのかもしれませんね? さて、星つむぎの村通信 40号をお届けいたします。今回は、特別投稿もありますよ♪ 是非お楽しみください!

 (仲道正恭)

 <星空俳句>

 黄昏や シリウス淡く 鎌の月

 3月に入り、雨の降る日が多くなりました。水不足が一気に解消される気配。
シーズン終りのカノープスを3月8日夕方、捉えることができました。これから秋の朝方まで、しばしの別れです。
3月9日の夕方、野辺山駅前で星空を見たときの風景を描いてみました。

(青りんご こと 斉藤泰文)

  ===========目次===========
1.今月の星空紹介
2.宇宙小話
3.村人だより -活動紹介(スターラウンド八ヶ岳)-
4.村人投稿 「星空とともに迎える春」
5.星つむぎの村 活動スケジュール
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 1.今月の星空紹介

 今夜は満月です。月は毎日形を変えるため、1年のうち満月が見られる夜は、わずか12回ほど。今回はそんな満月の楽しみ方についてご紹介したいと思います。

まず、肉眼で月を見てみましょう。満月では、うさぎの餅つきを最もよく見ることができます。うさぎをつくる薄暗く見える部分は「海」と呼ばれます。月の海は、地球の水に満たされた海とは異なり、巨大なクレーター(ベイスン)が40億~30億年前ごろの火山活動で流れ出た溶岩(玄武岩)で満たされています。

次に、自宅の双眼鏡で月を見てみましょう。海の中も明るさが違うのがよくわかります。また、うさぎの臼の先に大きなクレーターを見つけることができます。このクレーターは「ティコ」と呼ばれます。満月では、ティコから白い線(光条)が放射状に広がる様子がよくわかります。1億年前の隕石衝突でティコができ、水平に飛び散った破片が光条をつくったと考えられています。

地形の一つ一つが月の大地の活動を記録しています。月を観察し、月の歴史を感じてみましょう。

(野寺 凛)

   2.宇宙小話

皆さん、こんにちは。やとっこ野田さちよです。
今日は私の大切な友人で、大先輩でもある「アラン・ギルモア」さんのちょっと珍しい発見の小話です。
私たちが今、手にしている宇宙像や自分たちの立ち位置みたいなのは、こうしたひとつひとつのドラマの積み重ね
そんなことが伝わったら嬉しいです。

===
アランは、ニュージーランドのテカポという小さな町に住む天文学者です。
5年前にカンタベリー大学を退職して、今は同じく天文学者の奥さんパムとテカポ湖のほとりで小惑星の観測などをしながら暮らしています。
それまでは、湖に面した「マウントジョン天文台」に家族とともに住み、毎晩観測員として働いていました。
近ごろは世界中の名だたる望遠鏡や観測装置が大型化、自動化していて、「観測」といっても、撮影から機器調整、天候チェックまで機械がさまざまやってくれる事も多いのですが、当時はまだまだ半マニュアル時代。

 ある晩、アランは観光客への星空案内を終えて、パムと息子さんのクリス、仕事仲間のナイジェリとひと息ついたのち、外に出て空の様子を見ました。
星空案内の途中、ところどころに雲が出ていて、今夜これから始まる観測に影響がありそうだったからです。いつの間にか雲が去ってすばらしい空だったそうです。
空の状態を確認するとき、彼らは満天の星々を見ます。
星がどれくらい瞬いているか、雲の流れが星にどうかかるか、でデータの質が変わってくるからです。

 その日、アランは見上げた空に違和感を覚えました。
頭の中にほぼ、「星の地図」がある彼は、「ほ座」という、南半球を代表する星座の一つに、見覚えのない明るい星があることに気づいたのです。
明るい星・・・
すでに3等星ほどあったようです(街明かりのほとんどない場所から見える3等星はかなりの明るさです)。
こうした発見は、どれだけ早く国際機関に概要を報告するかがとても大切です。
誰が発見者になるかということだけでなく、発見直後の情報はその現象を理解するのにとても役立つうえ、速やかなアラートを出すことで世界中のいろいろな装置でフォローアップの観測ができます。
アランはことの重大さを察知して、急いで手持ちの天体カタログで確認。
その星が「確かに新しい星」と認識するのに、熟練の彼でさえ数分かかったと言います。

突如として明るく輝く「新星」と呼ばれる星を肉眼で発見した瞬間でした。
(新星は、新しくできた星じゃなくて、それまであった星が急に明るく輝くため私たちには突然現れたように見える天体現象です)。

彼はその情報を持って、今度は口径 60cm の望遠鏡があるB&Cと呼ばれるドームに走ります。予定の観測を中断、大急ぎでその新星に望遠鏡を向けて、いくつかの写真を撮りました。そしてこれまた大急ぎでIAUという天文学の国際組織にメールで概要を送り、無事受理されました。その後もこの新星はいろんなところでフォローアップの観測がされて、「V382 Velorum」と名づけられたのでした。

 今からちょうど20年前の19995月のことです。
新星の肉眼での発見はかなり珍しいこと。
彼はディナーの席で懐かしそうにその話をしたものです。
ちなみに、ネット上では発見者はオーストラリアの Peter Williams さん、となっているようですが、実は彼のメールはネットワークトラブルでアランより遅れて到着。
正しくはアランが「第一通報者(?)」と思われます。
アランも周りも気にしてませんけどね(笑)。
あと、今回アランからの追加情報でわかったのですが、どうやら二人が報告する前の日に、別の二人がこの新星を写真に収めていたことが後に報告されていました。
そのうちのお一人は、ニュージーランドに旅行中だった日本人。
FUJICOLOR SUPER 400というカメラフィルムだったそうですよ(時代ですねー)。

 私の夢は、二つあります。
一つは、今後3年のうちに子どもたちを連れてテカポの星空、パ厶とアラン、そして、現地の星空ガイド小澤さんに会いに行くこと。
小澤さんは、『テカポの星空をユネスコ世界遺産に』、と精力的に活動してきた方です。そしてその実現も目の前。
彼はこの数週間、たまたま都内のイベントで来日されていたのでした。
タイミング合わずで今回お会いできなかったのですが。

 私のもう一つの夢
「テカポの星空を日本の子どもたちに生中継 in エアドーム!
が、もしかしたら近い将来、実現するかもしれません(ぐふふ)。

 最後に、アランとパムの了承を得て二人を紹介します。
https://nz.linkedin.com/in/alan-gilmore-75b45113

ではいずれまた!

 315日、ニュージーランドの都市クライストチャーチで忌むべき事件が起きました。この国は豊かな自然と多様性、平和への高い誇りをもつすばらしい国です。犠牲になられた方々に心からのご冥福をお祈りするとともに、こうした兇悪無慙を繰り返してきた人という種のありようから目を逸らしてはいけないと切に思います。)

(やとっこ 野田さちよ)

  3.村人だより  -活動紹介(スターラウンド八ヶ岳)-

スターラウンド八ヶ岳~星めぐる大地八ヶ岳へようこそ

 星つむぎの村は、昨年の4月からスターラウンド八ヶ岳(スターオーシャン八ヶ岳から改称)の事務局を担っています。元はといえば、冬の観光振興(夏は死ぬほど忙しくて冬は死ぬほど暇という八ヶ岳の観光業の実情)のためにJTBと「やとわれ支配人の会」が始めたイベント。そのキーパーソンだった泉郷総支配人の田中大策さんが、高橋さんのプラネタリウムの投影を聞いて感動し、アドバイザーを依頼してきたのがきっかけです。

 八ヶ岳南麓は標高1000mを超える高原です。近くに大きな街がなく、光害の影響を受けることなく美しい星空を見ることができます。特に冬は、太平洋側の気候区に属しているため、乾いた晴天が続きます。昼間の澄んだ青空は、まさに紺碧という色で「八ヶ岳ブルー」と呼ばれます。そして、それが夜になると極上の星空。八ヶ岳スターダストと呼んでいます。

 八ヶ岳は、富士山とは対照的にたくさんの峰々が集まった山体をしています。その麓をぐるりと取り囲むような数々の星見エリアと、個性的な施設やナビゲーター。そんな様子を「スターラウンド八ヶ岳・星めぐる大地八ヶ岳」という名称とロゴマークで表現しています。

また、この地には縄文時代の遺跡も数多く見られます。

八ヶ岳の数万年の歴史をもつ大地と星空が生み出す悠久の時間の中で、私たち一人ひとりは、広大な宇宙の中のとても小さな存在であることに気づくことができるのではないでしょうか。
そして、隣にいる大切な人と、ともに生きる喜びを感じられるはず。
そんな想いで、お客様を迎えています。

 今季のウィンターシーズンは悪天候による1回の中止があり、全12回の開催。そのうち9回は「雪の天空テラス」と称して、サンメドウズ清里スキー場でリフト山頂駅(標高1900m)まで上がって、ゲレンデの明かりをライトダウン!頭上に広がる八ヶ岳スターダスト!!というドラマチックなイベントです。

今シーズンの結果は、全く星が見えなかったのが1回だけ(なんとそれは星つむぎの村の合宿で村人がたくさん見に来てくださった日(泣))。

ちょうど新月近くの日は快晴に恵まれ、冬の天の川や流れ星も見ることができました。
 お客さんの多くは、首都圏からの宿泊客。中には、京都からわざわざ来てくださった方や、中国・韓国からの方も。「彼女の誕生日に満天の星空をプレゼントしたくて来ました」という幸せなカップルも。期間中は、毎週末の天候を心配したりお客さんの入りが気になったりと、気が休まりませんが、「スタッフのみなさんがとてもあたたかでした」「また来ます」というアンケートを見ると、その疲れも癒されます。

 3月からはグリーンシーズン到来。冬だけのイベントにせずに、年間を通じて星を見る文化を確かなものにしていこうと思っています。

村人のみなさんにも、ぜひ一度八ヶ岳の星空を見に来てもらいたいです。

(跡部浩一)

4.村人投稿   「星空とともに迎える春」  

 東京都多摩市の植村あゆみです。皆様いかがお過ごしでしょうか。
2019年がスタートしてもう3ヶ月目。私にとってこの春は、子どもたちの入学入園が重なって、新生活がスタートするちょっと特別な春です。
その春を迎える前に、1月、2月と、星の世界に浸る時間を過ごすことができましたので、ちょこっと報告させていただきます。

 1月には、多摩市内の二つの児童館で開催された、プラネタリウムシアターと星空観望会に携わりました。
星つむぎの村の仲間たちはもちろん、児童館スタッフのみなさん、府中天文同好会の方など、いろんな方が協力してくれて、みんなで一緒に作った集いの時間となりました。
乳幼児から小学生の親子を中心に、たくさんの人が参加して、大きな望遠鏡をのぞいたり、寝袋にくるまって親子で川の字で星を見上げたり、ママ友とおいしい紅茶を飲みながら星の下で語ったり、あっという間の楽しいひと時を過ごすことができました。

 「うごいていく星をみたよ。ゆっくりまっすぐうごいてきえていったよ!」と人工衛星を見つけて報告してくれた年長さん、「お月さまって、こんなにみんなに見られて恥ずかしくないんですかね()」と優しく話しかけてくれたお母さん、「この体験のありがたさは大人になってからわかるんでしょうね。それで十分ですよね。」と話してくれたスタッフの方。毎回本当にあたたかい気持ちをもらえる地域のイベントになっています。

 2月には、娘の幼稚園で「生活展」と題して、子どもたちが普段の生活の中で創作してきた様々な作品を鑑賞するイベントがありました。なんと、年長さん二クラスで、プラネタリウムを製作していました。

 娘のクラスは、黒いビニールシートで囲まれた、ユニットバスほどの大きさのプラネタリウム。天井は高く、大小様々な形の穴があいていて、そこには透明ビニールに子どもたちが描いた惑星が貼ってありました。カラフルで楽しい宇宙空間!並べられた6つの小さな椅子に、ずーっと座っていたくなるほど、とっても素敵な宇宙でした。プラネタリウムの外には芸術的な手作り望遠鏡が設置されていて、それをのぞくと星が見えるようにもなっていました。

 お隣のクラスは、虹色のテープや絵で彩られ、わくわくしちゃうサーカステントのような形のプラネタリウム。中に入るときっちり真っ暗で、天井の小さなたくさんの星たちだけが、子どもたちの素直な瞳のようにまっすぐキラキラと輝いて、とってもきれいな星空でした。

 更に、先生たちが 作品ができるまでの様子を書いて展示してくれていたことも感動ポイント。プラネタリウムを作ることになった経緯、プラネタリウムを形にしていく過程、どんなアイディアが出て、どんな風にここまでたどり着いたのか、先生たちが子どもたちの気持ちを大切に、うまく引き出してくれているのがよくわかりました。私にとっても、娘にとっても、幸せな幼稚園生活だったと感じさせてもらった一日でした。

 あっという間に新年度。私と同じく、新しい生活の始まりが待っている方もいらっしゃるかもしれません。私もどうなることやら・・・ですが、星を見上げて、一緒に頑張っていきましょう!

(植村あゆみ)  

  5.星つむぎの村 活動スケジュール

 330日(土) ネオオリエンタルリゾート八ヶ岳でのキャリングプラネタリウム
        おもに宿泊者向けですが、7mドームと、ミニワークをやります。
https://yatsugatake.izumigo.co.jp/contents/event/zoom/?post_id=36061

428日(日) マンマメルカートでキャリングプラネタリウム  アイメッセ(甲府)
        山梨県内最大の女性によるマルシェ。去年は5000人きたんだそうです。
        そこで、プラネをたくさんやって、村グッズも売ります!
https://mamma-m.com/category/mamma2019/

51日(水・祝) リトルプラネットx星つむぎの村  県立図書館(甲府)
       合宿にサプライズできてもらった岩崎けんいちとの星空ライブ。
障害があってもなくてもみんなで楽しめる場を目指しています。
       病院がプラネタリウムの活動の紹介もできるといいなと思います。
https://www.facebook.com/littleplanet2/

53日~5日 星空縁日 イン 泉郷
       毎年恒例になってきました。
ネオオリエンタルリゾート八ヶ岳、セミナーハウスで、プラネタリウム、ワークショップ、星空観望会など行います。

 

★星つむぎの村のプラネタリウムサイトについて

3月より、「星つむぎの村のプラネタリウム」サイトがあらたに立ち上がりました!
http://hoshitsumugi.main.jp/planetarium

「病院がプラネタリウム」と「キャリングプラネタリウム」の情報をまとめ、スケジュールも、星つむぎの村が関わるのものについてgoogleカレンダーにて、先々まで見えるようにしました。そちらをご覧いただければと思います。

(高橋真理子)

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★星つむぎの村の最近の活動報告はこちらから!

〇星つむぎの村ウェブサイト
        http://hoshitsumugi.main.jp/

〇星つむぎの村facebook
        https://www.facebook.com/hoshitsumuginomura/

〇病院がプラネタリウムfacebook
        https://www.facebook.com/hospitalplanetarium/

〇スターラウンド八ヶ岳Webサイト
        https://star-yatsugatake.com/

 

 ◆お願い
村通信に写真、絵などを掲載したいと思っています。
星関係はもちろんですが、関係なくともこころに響いたり、ほっとするものでOKです。是非投稿ください!

news@hoshitsumugi.main.jp