館山「てとて」のみなさんと

館山「てとて」のみなさんと

11月28日、千葉県館山市コミュニティーセンターにて、「てとて」とその周辺のみなさんにプラネタリウムをお届けしました。「てとて」さんは、3年以上前から、重心児や医療的ケア児などの居場所をつくるために、奔走されていました。途中、台風19号被害の影響も大きく、さまざま困難乗り越えて、今年、「おてて」という児童発達支援の事業所を開設されています。
星つむぎの村からは、高橋、跡部、藤田一家が参加しました。藤田優子さんからのレポートです。

 

 

千葉県館山市で行われたプラネタリウムに参加しました。

迎えて下さったのは「てとて」の皆さん。
星つむぎの村のプラネタリウムがお伺いするのは3年ぶりなのだそうです。

準備のために会場を訪れると、待っていて下さった皆さんがとにかく笑顔で明るくて、お手伝いに来たのに、まだ何も手伝ってないのに、まずなにより自分がとても嬉しくて幸せな気持ちになりました。

ふとバギーの一樹を見ると、一樹もにっこにこ。

一樹も含めた我が家の子どもたちもあっという間に皆さんの明るい笑顔に惹きつけられて、唯も湊も大はりきりでした。

⭐︎⭐︎⭐︎

しばらくすると未就学のお子さんたちが、そして今度は大きいお兄さんお姉さんたちが、次々と来てくれました。

お先にごろーんと寝っ転がった私たちを不思議そうに見つめていた小さなお子さん。
「一緒にごろーんってしようよ?」と誘うと、じーっとしばらく考えたあと、私たちの隣にごろーんと寝っ転がってくれました。
それが嬉しくてかわいくて、みんなにっこにこ。
一緒に寝っ転がるってなんて幸せなんだろうと、また始まる前から嬉しい気持ちになったのでした。
⭐︎⭐︎⭐︎

跡部さんの紙芝居とともに、ゆったりとした雰囲気のなかでプラネタリウムが始まりました。

みんな感じたことを自由に言葉で表現しながら宇宙旅行に行き、迫る火星をよいしょーと押し返し…
わいわい楽しく惑星を巡っていたのですが、広大な宇宙の中にある天の川銀河の姿を見たとき、いつの間にか誰ひとり声を出さずにシーンと静まり返っていることに気が付きました。

そこにいる全員が地球の青さに息を呑み言葉を失い、そしてその美しい地球に吸い込まれるように自分の体がその内側に降りたつのを感じたとき、張り詰めていたものがふーっと緩むのをたしかに共有しました。

境界線がなくなる瞬間を見た気がしました。

⭐︎⭐︎⭐︎
投影が終わったあとになって、「てとて」の皆さんがこの3年間、館山という街にみんなの居場所を作るために大きな想いをもって尽力してこられたのだということを知りました。
そしてそこには一昨年星になられた片桐さんの大きな想いもいつも共にあったということも。

そうだったのか、と驚くとともに、すべて納得がいきました。

5年ほど前、房総半島に私たち家族を受け入れてくれる場所はひとつもありませんでした。
房総半島中の宿に宿泊を断られ、入浴を断られ食事を断られ、この街には重心児はいないんだろうか?と悔しくて泣いたことは忘れられない思い出です。

でも今回私たちは当たり前に一樹と一緒に宿に泊まり、温泉に入り、
当たり前に美味しいものを食べました。どこのお店に行ってもあたたかく迎えていただき、快く一樹のレトルトを温めてもらうことができました。

拒絶から受容へ、ここ数年、館山を訪れるたび街のいたるところに目に見えない居場所がたしかに生まれているのを私たち家族は身をもって感じていました。

てとての皆さんの笑顔は、皆を惹きつけ、皆が集いたくなる笑顔でした。
みんなが幸せな気持ちになる笑顔でした。

そんな明るい笑顔がこの街のたくさんの人の心をつなぎ、みんなが安心して過ごせる居場所を作りあげてこられたのだということがよくよく分かりました。

人の想いが街を変えていくということは、社会が豊かになることそのものだと思います。
そしてそれは未来への希望そのものだと思います。

すてきな街だなぁと、心からそんな風に思いました。

⭐︎⭐︎⭐︎

それからもうひとつ…

今回のプラネタリウムの日は、先日亡くなった母の月命日でした。

秋になったらもう一度、山梨と館山に行きたい

と言っていた母の想いと一緒に館山を訪れていた私たち。

何かの不思議な偶然で、「山梨と館山」が寄り添い星を見上げるあたたかな場所に居合わせることができて、幸せな気持ちで胸が熱くなりました。

帰り際、てとての皆さんから館山のお菓子をお土産にいただきました。
何気なく裏を見ると、印字されていた賞味期限の日付はなんと母の誕生日でした。
365分の1の不思議な偶然に、またみんなで胸が熱くなった帰り道でした。
片桐さんと一緒に、きっと母も空から見ていたに違いないと思います。

想いがつながる場所に、
また想いがつながる出会いがあって…

そうやって出会いつながることを繰り返しながら新しい居場所が生まれていく、そんな幸せの輪のなかに私たちも居合わせられたこと、とても嬉しく思っています。
ありがとうございました。