甲府病院であらたな試み

甲府病院であらたな試み

「病院がプラネタリウム」がはじまった2014年からずっと通い続けている甲府病院。2020年度は、機材2台を療育棟と病棟に一度に設置して、ライブ配信を見ていただくのを年間4回行いましたが、今年から、機材を1週間貸し出すのを4回、そしてライブを1回。
コンテンツをより、目的別にわけることで、利用者さんの好みにあわせてみてもらおう、利用者さんの好みをよりよく知る機会にしよう!という提案です。

まずその第1回目、5月17日(月)~5月21日(金)、15回! 延べ66人の方々がご覧になりました。そして今回のコンテンツは、「宇宙図鑑を開こう」というタイトルで、美しい星雲や星団の姿をたっぷりみてもらうものでした。これは、Kさんという利用者さん、とっても宇宙に対する好奇心あふれる方で、何度かみていただいたプラネタリウムでみる太陽系より奥のほうを、もっと詳しく見たい、と表明してくださったおかげでした。彼が図鑑を示して、こういうもの・・と保育士さんに伝えてくださったのです。とっても嬉しいリクエストでした。
ハッブル宇宙望遠鏡やESAの提供する、星雲の中を旅するような映像を駆使してつくりました。

最終回の日、保育士さんがみんな集まってくださって、利用者さんの様子の詳細レポートしてくださいました。
コンテンツがあっていたか、環境設定がどうだったか、プラネの効果は・・といった視点を、一人ひとりの利用者さんについて、見てくださっていました。

<コンテンツがあっていたという意見>
上記Kさんは、とにかく、自分の意見でコンテンツが新しくなったということで、興奮して興奮して、汗もかき、ほんとうに喜んでいて、最後はとても納得したという表情だった。
ふだんなかなか表情の変化を見せない方に、「よかった?」と問うと「にこ!」、「これ、好き?」「にこ!」、「また見たい?」「ニコ!」と三連発で答えてくれた。
以前のプラネタリウムでもそうだったが、最後は手をたたき、涙を流してくれる。
色鮮やかなものを目でおって、表情が柔らかくなっていた。
いつも手を口にもっていっている方が、そのときは集中して、手も口から離れていた。
ふだんは不快表現の多い方が、その時間はそれがまったくなかった。
注目度がとても高かった。
ストーリー性があっていると感じる。

<コンテンツがあっていないという意見>
ぼわっとしたものより、惑星など、はっきりした映像のほうが好きな方もいる。
言葉が少し難しいと感じる。けれでもこれは、対面だったら結構解消される問題かもしれない。
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いずれにしても、1週間あるということが、体調整わず、とか、寝てしまって、とかいう方でも、次は!とできる機会があるのが、とてもよい、という意見でした。
ライブ・対面ならではの良さはもちろんあるのですが、こうやって、じっくり、それぞれの方たちの「好き」を引き出していくのに、何回も繰り返し、いろんなコンテンツをやってみるというのは、とても意味のあることだな、と感じています。

豊かな天井の世界が日常になっていく・・私たちの夢も、こうやって、見てくださる方たち、そばで一緒に楽しんでくださる方たちがいるからこそ・・ いい経験をさせていただいています。