インクルーシブ研修会実施

インクルーシブ研修会実施

インクルーシブ研修会
10月20日(月) さまざまなプラネタリウム館で働く職員のみなさまが20名以上集まる会にて、「インクルーシブ研修」を行わせてもらいました。
20年近く前から、天文教育界隈ではユニバーサルデザインのことについて互いに情報共有する場がありましたが、プラネタリウム業界の中で、実践例の発表はあれど、ユニバーサルデザインやインクルーシブについて議論ができるような場は、これまでなかったかな、と感じています。(知らないこともあるかと思いますが)
今回研修に呼んでいただけたのは、とても大きな機会でした。
実は、私たちがあちこち出かけてプラネタリウムをやっていると、施設のプラネタリウムにいって、悲しく悔しい想いをした人たちに出会うことが少なくありません。一方、私たちのものをきっかけに、今まで行けると思ってなかったけど、今度は施設のプラネタリウムも行ってみたい!とおっしゃる方も多くいます。
車いすや医ケアやバギーにとっての物理的なバリア、あるいは声がたくさんでちゃうことへの躊躇、暗闇・・ たくさんの人がくるプラネタリウムに行くことに高い壁を感じている人がたくさんいます。
でも。
プラネタリウムって、とっても幸せな空間なはずだよね? 誰にとっても、星空や宇宙を感じたり、知ったりすることは、必要だよね?
今回の研修はその確認からはじめました。
その後、私たちの実践の話、村のPV、ニュースダイジェストをご覧いただいたり、一緒に同行したバギーユーザーのお母さんの声を聴いてもらったり、また、実際にプラネタリウムを体験してもらったり。
その後、事前に出されていた、参加者のみなさんからの「課題」について、一つ一つ、私たちの経験をもとに話をしました。 最初に、「声を出していいプラネタリウムです。思ったこと感じたこと、どんどん表現してね!」と言っていること。コンサートの場合でも人工呼吸器の音はみんなで一緒に生きている音、と先にお伝えすることで、「一緒に見られてよかった」とアンケートに書いてくれた方がいたこと、最初はどうしても怖くて入れない子が、最後はにっこにこだったり、集中してみて周囲がびっくりすることがあること・・ などなど。
その場でも、見えない人のことや聞こえない人のことの質問もあれこれでました。
何はともあれ、そういう方たちと一緒につくること、を提案しました。
最後のほうで、
プラネタリウムにおける暗黙のルール(真っ暗闇で静かに見る)は、何かを排除していないか?
静かに見ることは絶対に必要なのか?
暗いところに入る(最初の一歩が)苦手な人が見るのは無理なのか?
を投げかけました。
そのときには、すでに、みなさん、いろんな気づきやアイディアをもっておられたように思います。
終了後の感想には、
「”呼吸器の音は決して邪魔をする音ではなく、むしろ息をしている音、その人がそこにいるということを感じてほしい”という言葉や、”目が見えない人は、プラネタリウムでの周りのリアクションも体験している”というお話を聞いて、「みんなと一緒に見る空間」という考え方は、とても素敵で大切なことだなと思いました。
これまでは視野が狭く、自分だけがその時間のプラネタリウムを提供している感覚でしたが、
聞きに来てくださっている方と一緒に楽しい空間を作り上げられるような、そんな解説員になりたいと思いました。」
「ご講義や模擬投影を拝見して、道が見えた気がします。
本人の気持ちは本人のものなので、私が勝手に推察するのは意味がないこと。
私が何をしてあげられるかではなく、相手が何をしてほしいかを聞かなれば意味がないこと。
そして相手が何をしてほしいかを知るためには、恐れずに聞くこと。」
「プラネタリウムでは当たり前とされる前提や常識を今一度見つめ直すきっかけを頂きました。多くの方をおおらかに迎え入れることのできるプラネタリウム、という視点で新たに出来ることがあるかもしれないと感じました。
病床の子どもだけでなくケアする大人の皆さんの瞳にも希望の明かりを灯せる星々の光。そんな星空のもと幸せな仕事をさせていただいているんだなと改めて実感しました。」
などなど、たくさんの気づきがあったことを教えていただきました。
分断、排除があちこちにあるこの社会、今ほど、一緒に星を見上げることが大事な時代はない、と、「一緒に見る」ってどういうこと?っていうことを、一人でも多くのプラネタリウムに携わる人たちが増え、そんな思いを前面にだしてくれるプラネタリウムが増えるように・・
そのために、私たちができることをまた考えています。
それのための最初の一歩を与えてもらったように思います。
みんなで一緒に星を見上げましょう。