オンラインスマイルデーにて

オンラインスマイルデーにて

8月10日、東京おもちゃ美術館が実施するオンラインスマイルデーに、星つむぎの村を呼んでいただきました。リアルイベントのころも、ドームで呼んでいただき、オンラインになってからも去年、今年とやらせていただいています。
今回は、宙先案内人の高橋に加え、「宙先案内人じょしゅ」で、小2のゆいちゃんが星座のお話やみんなのねがいごとを紹介し、そこに素敵なコメントをつけてくれました。

「しゅじゅつがせいこうしますように」というお願いごとには、「これからしゅじゅつするのはどきどきするよね。でも大丈夫。きっとうまくいく~!」
あるおにいちゃんが「サッカーのがっしゅくが中止になりませんように」というお願いごとには、「ゆいの遠足とプールと、よさこい祭り中止になっちゃったんだよ。でもおそらの星は中止にならないよ。いつもここにあるよ」とお話してくれるゆいちゃん。

村人として、福岡のおもちゃ美術館のボランティアとしても活動している仲道さんからのレポートと感想、唯ちゃんのお母さんの藤田さんからの感想です。


<イベント全体概要>
NPO法人芸術と遊び創造協会、東京おもちゃ美術館主催の、難病の子どもたち、きょうだいとそのご家族を対象にしたイベントで、8/10,13,20の3日間で6つのプログラムがオンラインで開催されました。
このイベントの一つが、星つむぎの村のプラネタリウム。(定員30名は、早い時期に満員御礼:ピカピカ:
スマイルデーの詳細は、こちらから

<プラネタリウム報告>
われらがゆいちゃんが、参加してる子どもたちの願い を語り「宙先案内人 助手」としてデビュー 、真理子さんの「宙のたび」、星つむぎの歌を手話付きで、が主な内容。
その中でも、ゆいちゃんの語りは感動でした。この感動をどう表現すればよいのか。。。。
とにかく、本当にほんとうにすばらしかったのです!
みんなが送ってくれた おねがい は、それぞれの子どもたちの気持ちが ぎゅっと込められていて、
その ねがいを「ゆいちゃんが語ってくれた」ことで、私のハートに 思いっきり共鳴してくるのです:目が星:
だから? ゆいちゃんが語ってるあいだ 自然と涙が出つづけました:大泣き:
きっと、参加されたみなさんのこころにもしっかりと届いてるでしょう:3つのハートの笑顔:
ふっと、「言霊」って こういうこともあるのかもしれない、と妙に納得したり。
ゆいちゃん、次は「助手」は取ってもいいんじゃないかなぁ~(^^♪
もちろん、真理子さんの宇宙旅行もみんなを引き込んでいて、
「星空が見えにくかったら、部屋を暗くして見てくださいね~」という真理子さんの言葉の後に、(zoomの)画面が暗くなった画面がいくつもありました。みんな、真剣に参加してくれてたのでしょう。手話は、個人的には練習不足でボロボロ。気持ちを手話にも込められるように、もっと練習しよ~!
みんなでやると一体感をますます感じられますよね。

東京おもちゃ美術館の方々も、とってもソフトで全てを包んでくれるようなみなさんでした。
かく言う私も、福岡おもちゃ美術館でおもちゃ学芸員(早い話が、ただのボランティア)をやっていますが、こちらのスタッフさんも同じような雰囲気です。
おもちゃ美術館は、ゼロ歳児から楽しめるところなので、興味があれば是非訪れて見てくださいね。もちろん、大人だけでも楽しめますよ~~
わたくし、この秋、おもちゃコンサルタント資格に挑戦します。
めでたく成就したらば、星つむぎの村とおもちゃ美術館は 根柢のところでなんだか共通点があるようにも思うので、ぜひとも星つむぎの村といろいろコラボしていけたらと思っているのでした。ということで、とっても豊かな時間を過ごせました♪
ゆいちゃんの語り、今度は生で聴きたい~
そのうちに、福岡でも、ぜひ:注記: (文責:仲道)

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8月10日 東京おもちゃ美術館の「オンラインスマイルで―」に参加させていただきました。今回はなんと、娘の唯が「宙先案内人助手」として真理子さんのプラネタリウムのお手伝いをさせていただいたのです!

将来は本物の宙先案内人になりたい
星を届けたい

そんな唯が、我が家にとってとても思い入れのあるスマイルデーで、「助手」としてデビューさせていただいて、父と母は本当に感無量の思いでした。

☆☆☆

唯や一樹が小さかったころ、本当にどこにも出かけるところがなかったときに「おいで」と言ってくれたのがこのおもちゃ美術館のスマイルデーでした。
療育センターでポスターを見て、ここならいけるんじゃないかと思って申し込みをしました。

申し込みはしたのですが、行ってみたいという思いとともに、当時の私には、こういうものに申し込むことへの抵抗もまたたしかにありました。
一樹が生まれてある日突然自分が「重心児お母さん」「重心児家族」になったということを自分の中で消化できずにいた頃でしたので、うまく気持ちの落としどころが見つからなかったのです。

我が家のお隣さんには、同じような年代の子供がいます。 お隣さんはおもちゃ美術館が大好きでしょっちゅう遊びに行くのだと聞いて、私たちの行くおもちゃ美術館はお隣さんの行くおもちゃ美術館と同じじゃないんだなということがとても悲しく思えたりもしました。

でもたしかに、スマイルデーは優しくて、あたたかくて、楽しかったのです。
その名の通り、会う人みんなが笑顔のイベントでした。
ごはんもおむつも移動も他人の目も、何にも困らないおでかけは初めてでした。
一樹は生まれて初めて髪を切ってもらい、唯はおもちゃの部屋を行ったり来たり心ゆくまで堪能し、帰りの車は二人ともぐっすりでした。
遊び疲れて寝てしまうわが子を見るのもまた、初めてだったのでした。

迎えてもらえる心地よさ、ありのままでよい安心感、居場所があるという喜び、そういうものに心から救われる一方で、このような「障害児むけのイベント」に参加するということは社会的な障害を受容することになるのではないかという考えと、でもたしかに「また行きたい」と思っている自分と。
子どもたちの寝顔を見ながらいろんな葛藤を感じた帰り道でした。

悩みながらも、翌年、また申し込みをしてしまいました。 翌年はまた違った景色でした。

この時は母(唯や一樹の祖母)も一緒でした。湊がお腹にいたのでサポートのために来たのですが、たくさんの方に言葉をかけていただいたり、アロママッサージや音楽に癒されたり、おいしい焼き菓子をもらったりしながら
「私もいいんですか?」といちいち目を丸くしていました。
一樹のおばあちゃんになってから、母は母なりに我が家を支えるために必死だったのだけど、そのことを誰かから労わられたり寄り添ってもらったことは一度もなかったしそんなことしてもらえるとは思ってもみないことだったのでしょう。ありがたいねぇと何度も言っていました。

都内に暮らしていると、リハビリや療育の場所はある程度限られているので、おもちゃ美術館で出会ったご家族にお会いすることがあります。
「スマイルデーでお会いしましたよね!」とかいって声をかけたりかけられたり。
そうして仲良くなったお友達もたくさんいました。

また逆に、普段はリハビリや療育でご一緒している仲間にスマイルデーでお会いすることもありました。
あ、お姉ちゃんいたんだね?とか、弟いるの?!とか、家族のなかにいる姿は普段の療育で見かける姿とは違ってとても新鮮で、いつも驚かされました。
どんなに障害が重くても、どんなにたくさんのケアを必要としていても、兄弟や家族とおもちゃで遊んでいる顔は、病院や療育で会うときと全然違う顔なのです。

そんな別人みたいな顔を見ながら、その子がどんな病気なのか、何ができて何ができないのか、ということはよくよく知っているのに、兄弟いるのかなとか、どんな遊びが好きなのかなというようなことは何にも知らないことに何度も気が付きました。
自分たち家族にとっては一樹も当たり前に「家族の一員」なのですが、よそのお子さんは「障害児」ありきでしか見ていないのだということを痛感させられました。みんな当たり前に家族の一員なんだと思ったらこの世界はそんなに特別な世界じゃないような気がして、なんだなんだ、と笑い出したくなりました。

父さんも母さんもじいちゃんもばあちゃんも、そしてきょうだいたちも、みんな一緒に「おいで」と言ってくれて「ようこそ」と迎えてくれるスマイルデーは、決しておもちゃ美術館と切り離された「障害児支援サービス」ではなく、おもちゃ美術館は誰にとってもおもちゃ美術館なんだなぁと思いました。
お隣さんが大好きなおもちゃ美術館と私たちが大好きなおもちゃ美術館は同じなんだと思えるようになりました。

☆☆☆

抵抗を感じながらもそれでもスマイルデーに行ってみようと申し込みをしたのは、ここに新しい世界が広がっているんじゃないかという希望を感じたからであり、広がっていてほしいという切な願いを抱いていたからでもありました。出会いやつながりを、私たちは切に切に求めていたのでした。

葛藤を抱えながらもそれでもまた行きたいと思ったのは、たしかにそこに新しい世界が広がっていたからであり、笑顔がたくさんたくさんあったからであり、あたたかい出会いやつながりがあったからでした。

外の世界に一歩踏み出せは迎えてくれる人がいるということ
自分から出かけていけば出会いがあるということ、居場所があるということ
自分たち家族は、ちゃんと誰かとつながっているということ

スマイルデーでそれを実感できた経験があったからこそ、私たち家族は星つむぎの村と出会うことができたのだと思います。
私たちはそうして出会った星つむぎの村で「村人」となり、自分たちの「こうありたい」を見つけることができました。「こうありたい」と思える自分に再び出会うことができました。

出会い、つながり、めぐり逢い、今度は星つむぎの村の村人として、届ける側となって家族みんなでスマイルデーに参加できたこと、とてもとてもうれしく思っています。
あのときの私たちを知ってくれている皆さんに今の私たちの姿を見ていただけたこと、ありがとうを伝えられたことがくすぐったくてうれしくて。
恩返しなどというにはおこがましいですが、星を届けるお手伝いができたことが誰かの新しい扉を開けるきっかけになれたらいいなと願って止みません。

それから。
あの場にいた皆さんが、ほんとはちっとも助手じゃない唯をちゃんと「助手」として迎えてくださったこと、感謝の気持ちでいっぱいです。唯の夢をかなえる機会を作ってくださってありがとうございました。

こどもの夢や願い事を笑ったりせずちゃんと受け止めて尊重してくれる大人がいるって、子供にとってとても大きなことだと思います。
そして、夢や願い事があるってとても素晴らしいことだと思います。
自分自身の夢をかなえながらみんなの願い事を言葉にしていく娘の姿に、みんなみんなかなうといいなと私も心からそう思いました。

スマイルデーに行っていたく感激した母が「ここは別世界やな」といった言葉が今でも忘れられません。
別世界ではなく、ちゃんとつながっているこの同じ世界なんだよということを伝えていくにはどうしたらいいか、この素敵な時間空間をどう同じ世界の当たり前の景色にしていくか、一樹と歩む自分の人生の課題として模索し続けています。

次回もまた、いつかリアルで、いつかドームで、夢は続きます。
ひとつひとつ、みんなでかなえていきたいです。(文責:藤田優子)