8月の片桐プロジェクト
8月の「片桐PJ巡回プロジェクト」は、和歌山病院、長良医療センター、帯広病院でした。他、有償枠として、千葉東病院は1ヶ月にわたり、また甲府病院は1週間(2カ月に1回)行いました。これから感想をいただくところもありますが、これまでにいただいたものをご紹介します。
<和歌山病院> 20回164名の方が観覧
・視覚でとらえることのできる方、視覚優位の方はとても集中して鑑賞していました。
・視力の弱い方、盲目の方も、ナレーションや雰囲気を感じている様子、耳を傾けている様子がうかがえました。
・短期入所で5日間毎日、午前午後と活動参加予定だった方がいて、さすがに毎日同じプラネタリウムは飽きると別メニューを用意していましたが、「毎日でもいい」「好き」と言ってすべての上映を楽しまれていました。特に火星を押し上げるところで、毎回手を伸ばしていました。
・患者様にとって日頃体験することがないものを体験出来て新鮮であった。いい経験になったと思う。夏のお楽しみ会として特別感があった。
・見え方や感じ方は各々違うが、最初から「分かりにくいんじゃないか」などと否定せずに、援助者と一緒に感想を分かちあうだけでも良い機会だったと思う。 などなど
<長良医療センター>30回140名の方が観覧
・星が美しく、皆空を見上げていました。
・火星が近づいてみんなで押す場面では声を出されたり手を伸ばしたり、笑顔になられる方 が多くとても盛り上がりました。
・動きの少ないところでは集中できない場面もありました。
・惑星の動きや色彩がはっきりしている時にじっと見つめる様子が見られました。
<甲府病院>
甲府病院は、もう7年もの間、通い続けている場所で、コロナの影響で、「1週間レンタル」という状況になったところから、保育士さんたちから、毎回趣向を変えて、利用者さんのようすを引き出していきたい、という提案があり、8月は、「夏の夜の音(虫やかえるや・・)と一緒に、ほんとうに実際の星空を眺めているような時間」をつくるのがテーマでした。
ナレーションも音楽もなく、星と環境音のみ。
それまで暗闇がどうしても怖くてはいれなかった方が入れたことや、普段はすぐに出てしまう方が、何度も上を見上げて長時間その場にいたり・・という方もいらっしゃり、また、特段の変化がなかなか見られない方も。
プラネタリウムはいろんな要素がからみあっているので、それらを一つ一つ丁寧に、一人一人の利用者さんの好みを確かめていく、という実践が、素晴らしいなと思います。
※写真は別のときのものです
※片桐PJ巡回プログラムとは
今年4月から「すべての人に星空を―片桐PJ巡回プログラム」がはじまりました。国立病院の全国保育士協議会の会長をつとめられておられた片桐有佳さんが、去年末、突然、星になってしまいました。大きな衝撃と哀しみは続きますが、片桐さんに大きな影響を受けていた保育士のみなさんは、彼女の強い意志を継ぐ、ということを口々におっしゃっています。
星つむぎの村は「病院がプラネタリウム」がはじまった年から、片桐さんには、大変お世話になってきました。彼女のおかげで、病院内で療育環境にある方々との出逢いがたくさんひろがりました。
彼女がいつもソラから見守ってくれるように、そのことを、みんなが感じてくれるように、彼女の「人々が当たり前に見上げる夜空を、利用者さんも見上げてほしい」という思いを継げるように・・そんな願いを込めてこのプロジェクトを始動しました。