ヘレン初台にて
6月4日、ヘレン初台への出張プラネタリウムがありました。4名のお子さんとスタッフさんが体験してくれました。スタッフは、高橋、跡部、藤田優子です。藤田さんのレポートでお届けします。
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あいにくの雨の中、外まで迎えに出てきてくださった園長先生の「今日のメインですから!」というお言葉。
慌ただしい朝の送りの時間にありながらわざわざ足を止め、「私も山梨出身なんです!嬉しいです!」と声をかけてくださったお母さん。出会う人迎えてくれる人みんなが終始笑顔であたたかなのがとても印象的でした。登園してきたお子さんたちは、いつもと違う雰囲気や私たちに最初はやや緊張気味の様子でしたが、ひとりひとり体とこころをほぐして、みんなで満天の星空に包まれました。お誕生日星座とともにひとりひとりの名前を呼んで宙を巡ったあとは、保育士さんたちにギューっと掴んでもらってみんなで宇宙に飛び出しました。
迫りくる火星を押し返し、土星の輪をくぐり、そして青く輝く地球を眺めました。みんなみんな、ひとり残らずここにいます。
みんなここで、泣いたり笑ったりしているんだね。投影の最後…なかなかほんとの空は見ることが難しいかもしれないけれど、でもこの天井の向こうにはいつもこんな星空があって、そのまたもっと向こうには広い広い宇宙があるっていうことを、どうか覚えていてくださいね真理子さん言葉に、胸が熱くなりました。
「こういう子たち」にそんなことを言っても分からないんじゃないかと、以前の私はそう思っていました。
我が子が重心児になるまでは。
自分が重心児お母さんになるまでは。
だけど「こういう子たち」なんていう言葉ではとうていまとめられないかけがえのない命の輝きを日々目の当たりにしている今、私はこの真理子さんの言葉を、目の前のこの子どもたちに伝えたいと心から思いました。
今日の星空をどうか覚えていてほしい、
そしてその向こうにある広い広い宇宙のことを、どうか知っていてほしい、と心から思いました。ここにいるお子さんたちに星を見せたいと思った先生たちの想い、星を届けにきた私たちの想い、
そしてたしかにそこにある「もっと知りたい、もっと見てみたい」というひとりひとりの声なき想いその全てが星空のもとに交わり合う、とても情熱的であたたかな空間でした。
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ヘレンは重心児の保育園。
ここにお子さんを預けてお母さんたちは仕事に行きます。そんなヘレンに星を届けるお手伝いをさせていただくために私もまた、重心児である息子を預けてきました。ヘレンに通うお子さんたちが笑顔あふれる場所であたたかく見守られている姿を見せていただいたことは、同じ重心児をもつ親として本当に心が救われる思いでした。
たくさんの他者たちから愛され大切に思われていることを知ることは、幸せを学ぶことだと思います。
そしてそれは障害の有無にかかわらず、人が生きる、ということの根源的な意味だと思います。子どもたちをみんなで育て合い、そしてそのことを通して大人も子どももみんなで育ち合う、
満天の星空の下にそんなあたたかな社会の姿を見た気がして、得もいわれぬ幸せな気持ちになりました。それからヘレンの朝の会では、「はじまりの歌」を手話やサインを使って歌っていらっしゃいました。
そのなかで、「星つむぎの歌」で杉山さんに教えていただいた「うた」というサインが出てきました。
私も知っているサインが出てきたっていうただそれだけのことだけど、「知ってるよ!」と言えることがたったひとつあるだけで、なんだか仲良くなれた気持ちがしてとても嬉しくなりました。
知ることから世界が広がる、ということを実感した出来事でした。コロナ禍のおかげでオンラインの可能性もたくさん知った今日この頃でしたが、やっぱり対面のもつ空気感は素敵でした。またちょっとずつ、同じ空気を吸ってみんなで「わぁっ!」と声を上げられるプラネタリウムが増えていったらいいなぁと思います。
また参加させていただけるのが楽しみです。
ありがとうございました。