病院がプラネタリウム研修会2020 

病院がプラネタリウム研修会2020 

 4月18日の夜、19日に、「病院がプラネタリウム研修会」をオンラインで行いました。星つむぎの村には、全国あちこちにちらばる150人ほどの「村人」と呼ばれるボランティアメンバーがいます。なかなかホンモノの星を見ることができない人たちのところへ星を届ける活動に参画する人、ものづくりや、ワークショップ開発で関わる人、解説を担う人や、企画をする人、アンケート調査にのりだす人、など、その関わり方はさまざまです。
「星を届ける」というこの活動は、医療や福祉の世界からみると、いったいどんな位置づけがされるのか、また、そこに関わる人たちの活動を広げたり、深めたりするにはどうしたらよいのか、そんなことを一緒に考える場として今回の研修を企画しました。 ゲスト含め40名のzoom会議です。
今回は、当初、初の関西での開催を企画しており、でも遠くて参加できない人のために、ということで都内での報告会も企画していましたが、今の新型コロナウィルス感染の影響から、どちらも直接的に会うことができないかわりに、1度に40名、言葉通り、北海道から沖縄までのメンバーが参加することができました。 一気にオンライン会議の需要が増えている今、はじめてzoomを使うメンバーも多くいましたが、それに向けての練習会もなんどか重ね、40人のオンライン会議としては、素晴らしく充実した濃いコミュニケーションの場となりました。
前夜祭としての前日は、私たちの活動の振り返りと、自己紹介。ブレイクルームをつかったグループセッションで、最近の気持ちなどの共有。2日目は、講演とディスカッション。

 トークのゲストとして、ソーシャルワーカーで大学教員の鳥海直美さんをお迎えしました。鳥海さんは、共同代表の高橋と20年来の友人であり、「病院がプラネタリウム」のような活動をいつかやりたい、と思わせてくれた最初の人でもあります。
一人ひとりのいのちの尊厳と権利を守りながら「共に生きる社会」を目指して、さまざまな実践を行ってきた鳥海さん。「病院がプラネタリウムの価値を探して―広大な世界を小さな心で思い浮かべることこそ」と題しての講演でした。
障害権利条約、子どもの権利条約の側面から、そして、現在の福祉や医療の制度からみたとき、私たちの活動はその制度のハザマにあるからこそ、「想像力や主体性がはぐくまれるような」また「人間がより人間らしく生きられるような」権利に近づいていく活動なのだ、と。
また「ともに学ぶ、ともに生きる実践の基盤にある考え」と私たちの活動の接点にあるものを、さまざまな角度から見せてもらいました。

 言葉以外のコミュニケーションが主である人をどう理解するか? そもそも、理解とは? 人間同士が100%理解することなんてないのでは? そう思ったときに、言葉のあるなしと理解の度合いは関係ないのでは?
一人の子どもの表情を読み取って、それを何か言語化していくことへの躊躇はあえて、それを言葉にし、仲間と共有することで、それがみなのストーリーになっていく。
「異質なもの」にたいするバリアや境界線を、すべて取り払ってくれるのが宇宙の存在なのかもしれない。

「病院の天井に映し出されるにせものの星に こころがとらえられてしまうのは
あなたがほんとうにそこにいて わたしに語りかけているから
わたしがからだで表現する思いを あなたが聴いてくれるから」

参加した40名は、年代も、バックグラウンドも、病気や障害とのつきあい方も、多様な人々。その人たちの、あふれる想いや受け止める心が交錯しつづけた時間でした。
今のこの社会状況にあるからこそ、「コロナ後」の社会をあらゆる境界線をとりのぞく社会にしたいという気持ちをさらに深めた時間でもあります。

人はなぜ星をみあげるのか  まだまだ思索も実践もつづきます。

今回、もう一人のゲストとして、つなぐ人フォーラムつながりの岡田さんが参加してくださり、素敵なグラフィックレコードも残してくれました。感謝!