星つむぎの村通信 No.16  2016年11月7日 立冬

星つむぎの村通信 No.16  2016年11月7日 立冬

北海道では雪なのに、こちらは秋晴れの良い天気が続きます。
今年は、暑い夏が長かったせいで木々の葉の色づきがよくないのか、
鮮やかな紅葉には、会えません。
それでも富士山に続き、甲斐駒や八ヶ岳にも初冠雪の便り。
11月7日は二十四節気の立冬、太陽の黄経225°いよいよ冬到来です。

木枯らしに 青葉ちらほら 遠太鼓
(文責 青りんご)

・・・今号の目次・・・・・・・・・・・・・

☆【時季の星空】

★【星つむぎの村イベント情報】

☆【星関連イベント情報】

★【星関連イベント報告】
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☆【時季の星空】・・・*・・・*・・・*・・・

初冠雪の知らせが次々と届くようになり、いよいよ冬がやってくるのだと
身の引き締まる思いです。まだ夕焼けの余韻が残る頃、西の空には、
強い光を放つ金星が目を引きます。近くには優しく光る土星や赤い火星も
見えています。夜8時頃には、「秋の四辺形」が空高く輝き、秋の主人公の
星座たちが夜空を彩ります。そんな星々の中を、日々形を変えながら
動いていく月。11月14日に満月となる今回の月は、1年の中でも最も大きく
見える月で、「スーパームーン」とも呼ばれます。
地平線近くの満月が目の錯覚で大きく見えることがありますが、実際にも
年間を通して月の見かけの大きさは変化をしています。月は地球の周りを
楕円軌道で回っているため、地球に近づいたり遠ざかったりしています。
一番近づく時が約36万km、一番遠ざかる時が約41万kmです。その最接近と
満月となるタイミングが近いと、月が大きく見えます。
11月14日の月は35万6509kmまで近づきますが、これは1948年1月26日の
35万6461km以来の68年ぶりの近さとなります。最接近の時刻は20時20分頃、
そして、22時50分頃満月になります。
「スーパームーン」と呼ばれるこの満月は、他の満月よりも約14%大きく、
約30%も明るく見えます。

月は地球とほぼ同じ頃に誕生した星です。私たち生命が生まれる前から
空にあり、地上を照らしていたのでしょう。月は、地球の潮の満ち引き
だけでなく、気候や季節変化、様々な生物の営みにも深く関わっています。
普段、当たり前のように空にある月ですが、そんな月だからこそ、
私たち生命にとって、なくてはならない存在なのかもしれません。
(文責 小林さやか)

★【星つむぎの村イベント情報】・・・*・・・*・・・*・・・

<福島訪問>
星つむぎの村の活動の柱の一つとして、被災地へ星空を届け隊!を行って
います。今月、山梨と東京のメンバー11名が福島を訪問します。
移動プラネタリウム、星空工作、バルーンアート、夜には星空観望会も
行います。お近くの方、ぜひお越しください。お会いできたら、そして
一緒に星を見上げることができたら嬉しいです!

11月19日(土)
11:30~16:00 歌とプラネタリウムとかぼちゃのほうとう with
ローカルデザイン
南相馬市鹿島生涯学習センター(さくらホール)
山梨から別の団体とご一緒します。村は、プラネタリウム&工作やります。
18:30~20:00 福島市平石集会所(福島市平石字中稲場19番地)
プラネタリウム&工作&観望会
11月20日(日)
10:00~11:30 郡山市サンフレッシュ郡山
軽運動室(郡山市安積町荒井字南赤坂265 )
プラネタリウム&工作

※すべて予約不要。無料です。
☆【星関連イベント情報】・・・*・・・*・・・*・・・

■「はじまりはひとつのことば」覚
和歌子 新詩集刊行記念朗読会in八ヶ岳

星つむぎの村のキーパーソンである、詩人・音楽家の覚
和歌子と、器楽奏者の
丸尾めぐみが八ヶ岳にて。

和歌子、3年ぶりのオリジナル詩集「はじまりはひとつのことば」の
刊行記念の朗読会です。

朗読と歌:覚 和歌子 音楽:丸尾めぐみ
日時:11月27日(日)13:30開場 14:00開会
会場:日本基督教団
八ヶ岳伝道所(北杜市高根福祉村の隣)
入場料:1500円
ご予約:kotobakobato@gmail.com ※お名前、電話番号、人数をお知らせください。
詳しくはこちら:http://kaku-wakako.com/data/2016/11/-in-1.php

■第一回「長野県は宇宙県」ミーティング

長野県内にある天文に関わる施設・団体で活動する様々な人が集まって、
活動発表や討論会を行います。
長野県民のみなさんに宇宙の魅力を知ってもらい、また宇宙県としての
長野県の魅力を広く伝えていくため、互いの活動を知り、魅力を高め、
発信していこうという集まりです。

主催:「長野県は宇宙県」ミーティング実行委員会(有志による自発的な集まりです)
日時:11月23日(水) 12:00-13:30(予定)
会場:信州大学松本キャンパス 経法学部 講義棟1階
第3講義室
参加対象者:本件に関心のある方ならどなたでも参加可。(発表者以外は事前申込み不要)
詳しくはこちら:http://togetter.com/li/1043648

★【星関連イベント報告】・・・*・・・*・・・*・・・

■ライトダウンやまなし(速報)

11月5日(土)にライトダウンやまなしが開催されました。
近年、なかなか晴れずに悔しい思いをしてきたライトダウンですが、
今年は朝からずっと晴天、20時のライトダウンでさらに素晴らしい星空が
広がりました。山梨県立科学館をはじめ、県内各地で、プラネタリウムや
観望会やコンサートなど、様々なイベントが開催されました。
そして今年も多くの店舗や施設がライトダウンに協力してくださいました。
その様子の一部はライトダウンやまなしのfacebookで見ることができます。
https://www.facebook.com/lightdownkofu
今後、イベントの様子や消灯の様子がさらにアップされますので、お楽しみに。

ライトダウンやまなしは、星つむぎの村共同代表の跡部浩一が事務局長を
務める他、消灯依頼やイベントに、星つむぎの村プロジェクト村民が
多くかかわっています。県立科学館における星空解説やワークショップ、
南部市民センターでのプラネタリムと観望会、富士北麓会場やミュージアム都留
での観望会や解説、FM甲府での解説ゲスト、さらには、「ライトダウンたしかめ隊」
という街中を走って消灯の様子を記録する部隊には、プロジェクト村民の
大学生たちも活躍しました。
来年度以降、企画部分で、村のみなさんに関わってもらいたいと思っている
こともたくさんありますのでよろしくお願いします。

20時のライトダウン後、見上げた夜空には、秋の四辺形、カシオペヤ、
ペルセウス、すばる、そして夏の大三角、フォーマルハウトにデネブカイトス
と、今見える星達はほとんど見えるほど、すてきな星空でした。
その星空の様子を一枚、添付にてお送りします。
写真には、真ん中に大きな白鳥の姿、夏の大三角と山梨県立科学館の
望遠鏡、見上げる皆さんが写っています。

■保阪嘉内・宮沢賢治 花園農村の碑 碑前祭に参加して

2016年10月30日午後、東京エレクトロン韮崎文化ホールで行われた
「花園農村の碑 碑前祭」に参加してきた。
秋晴れの快適な気候のもと、13:30からホール前庭の花園農村の碑の前で、
はじめ、今年7月に亡くなられた保阪嘉内の次男・庸夫さんに黙祷をささげた後、
挨拶、セレモニーがあり、韮崎市民合唱団が嘉内作曲の勿忘草の歌、アザリア、
帰去来、独哭譜そしてさだまさしの「銀河鉄道の夜」などの歌を披露した。
これらは、少しもの悲しく、ロマンチックないい歌だった。
独哭譜は、嘉内が盛岡高等農林学校時代同人誌アザリアを刊行していた
級友を想ってつくった歌で、言葉は難しいが、素敵な詞なので記しておく。

独哭譜(賢治、緑石、健吉を憶う)    原作者 保阪嘉内 補作 保阪庸夫

1 思いで多き 丘の上で 遥けき邦の空眺め
夢とけむりし 二年(ふたとせ)の 心無き日に涙する

2 頻(しき)吹き過ぐる 時の風 想いは千々に散り砕け
泥(なづ)む瞳に 消え残る 君が笑(え)まひも朧(おぼろ)なる

3 あえかに暮るる 里の空 去りにし人の影淡く
夕日夕雲夕風の 綾(あや)の絆(ほだし)に独り哭(な)く

この後ホール2Fに移り、国立天文台副台長・渡部潤一さんの講演に移った。
はじめに庸夫さんの長男大也さんが生前の庸夫さんを偲ぶ挨拶を行い、
田沢義源さんが水墨画「賢治と嘉内の銀河鉄道」の贈呈をし、渡部さんの
講演「賢治と嘉内と宇宙と」に進んだ。渡部さんは、「宮沢賢治は、岩手に
生まれ、当時の科学の最新知識をふんだんにとりいれ、文学へと昇華させた。
また、保阪嘉内は、山梨県駒井村に生まれ、1910年に地球に接近したハレー
彗星の絵を残した。確証はないが嘉内は当時甲府中学に赴任していた
野尻抱影に出会ったはず。」というような背景から、二人の出会いと分かれ
を話し、賢治の文学と当時の天文・星座・科学知識の驚くべき正確性を賢治
の童話を引き合いに出し、わかりやすく説明した。また賢治の作品「銀河
鉄道の夜」には心友嘉内への想いがこめられ、相対性理論をうまく取り
入れて構成していることを語った。最後に渡部さんは、“広大な宇宙に
想いを馳せながら、ぜひ本物の星空を眺めよう、天の川は今や〝絶滅
危惧種”になってしまっている“、賢治が嘉内とともに眺めた「天の川」を
眺められる場所を守ろう、と締めくくった。
最後に、実は講演の前に投影する予定だったNHK盛岡放送局の保阪庸夫
さんへのインタビュー映像が、再生装置の調子が悪く後回しになっていた
ものの、跡部さんの驚異のご努力でよみがえり、渡部さんの講演後に投影
された。このなかで庸夫さんは、賢治のことを光のあて方でどうにも変化
できる“変幻自在の人”と述べていたことが心に残る。
この日は、講演を聞きながら、句がしぜんに浮かんできた。

ぎんどろの 木をわたる歌 碑前祭
秋日射す 花園の碑や 歌清(すが)し
幸せを 求め歩めり 友ここに
ぎんどろの 葉裏に染まる 秋深し
碑の前に 響く歌声 天高し

(文責 青りんご)

 

★追加情報★
村共同代表・高橋真理子がプロデュースする形で、宮沢賢治・保阪嘉内
生誕120年記念番組として、FMFUJIにて1時間の特別番組をオンエアします。
なんと、大晦日12月31日18:00~18:54  です!
お楽しみに。

■「病院がプラネタリウム」について

高橋真理子の星空工房アルリシャと、星つむぎの村の協働事業として「病院がプラネタリウム」を実施しています。その報告などは、主に、https://www.facebook.com/hospitalplanetarium/?fref=tsにあります。
もし、自分も何か関わりたいという方がいたら、高橋のアドレスに直接ご連絡ください。info@alricha.net

・★☆・・本通信に関するお問い合わせ・・☆★・

info@hoshitumugi.main.jpまでご連絡ください。
みなさまからの情報、寄稿、ご意見も、お待ちしています!!

山梨県立科学館展望テラスより 11月6日